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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 27

乱暴なゴリラに追い掛けられているところを美少女に助けてもらうが、実は美少女の正体は意地悪な魔女でその魔女の呪いでネズミに姿を変えられてしまって途方にくれていると、同じく魔女の呪いで犬に姿を変えられたどこぞの国のお姫様と出会って、恋におち、二人で協力して魔女を倒すなんて夢を見てしまった。
ふと外に目線を向けると、真っ暗だ…。
どうりで長い夢だと思った。まぁ、おかげですっきりした気分だけど。
外から微かに笑い声や話し声が聞こえてくるので、まだ学校は閉まってないらしい。
鞄取りに行かなくちゃ…
まだ閉まってないとはいえ、もうすぐ閉まる時間に近いはずだ。

足早に教室に向かう。どの教室も電気は消えており、多少の不気味さはあるものの、人の気配がなさすぎてすがすがしいくらいだ。
「…あれ?」
僕のクラスだけまだ電気がついている。…誰かいるのかな?
教室のドアを開けると、中にいた人物が勢いよく振り向いた。
「…西島さん」
「びっくりしたぁ…」
僕の姿を認め、安心したのか胸に手を当てている。昼間のことがあるから、ちょっと気まずい…
「…なにしてんの?」
「ん…委員のプリント」
「そう」
会話が終了してしまった…いつもの西島さんなら、手伝えとか言うんだろうけど。やっぱり、昼間のことを気にしてるみたいだ。

気まずいなぁ…。
「…あー、手伝おうか?」
「大丈夫、もうすぐ終わるから」
…帰っていいのかな?もう暗いし、女の子一人残すのはさすがに男として気がひける…まぁ、西島さんなら大丈夫だろうけど。
「…やっぱり、手伝うよ」
「大丈夫だってば」
「いや…うん…」
曖昧に言葉を濁す。うまく言葉に出来ないけど、このまま帰るのが正しいとは思えない。
「なら、待ってる」
「え…いいよ、別に」
僕は充分躊躇ってから、一つ溜め息を吐いた。
「僕は西島さんの奴隷なんだからさ、もっと頼ってよ」
こんなセリフ、いいたくないっての。でも…他に言葉が思い付かない。

西島さんはポカンと僕を見つめる。
「…渋谷君って、M?」
………なんてこというんですかね、この子は。
「違うと思う」
「趣味は人それぞれだから…いいと思うけど」
「あのねぇ…」
「否定はしないよ、うん」
「…僕の話、聞いてる?」そこで西島さんは吹き出した。
「ごめん、ちょっとからかってみたくなっただけ」
お、空気がちょっと和んだぞ?
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
ニッコリ笑ってプリントの束を差し出した。
「…さっき、あとちょっとで終わるって言ってなかった?」
「言葉のあやよ」
サラリと涼しい顔で言うセリフですか…。
やっぱり、この子悪魔やー…。

「しかし、凄い量だねぇ」
「そう?今日は少ないほうだけど…」
「へ!?」
思わず手元にあるプリントに改めて目をやる。
「アンケートの集計だから、量が多く見えるだけじゃない?」
「…そうかなぁ?」
委員長って大変なんだなぁ…ん?
「そういえば、もう一人の委員は?」
男女一名ずつのはず。
「あー、三村君?」
…あいつか。三村も西島さんと似たタイプ。成績優秀、スポーツ万能、一年にしてバレー部のレギュラーだったりする。
「部活忙しいんじゃない?」
「…無責任だな」
「別に一人の方が気楽だから」
ひょいと肩をすくめる。初めから期待なんてしていないような口ぶりだ。

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