PiPi's World 投稿小説

仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

の最初へ
 24
 26
の最後へ

仮面少年の恋 26

「いや…別に」
「好太と梢ちゃん、仲良いよね」
「………?そんなことないけど」
僕、下僕だし。
「でも、結構一緒にいるし」
………こ、これは、もしかして、やきもち!?自然に顔がにやけてしまう、良かった、顔みられなくて…。
「安心しちゃった」
「…へ?」
「梢ちゃんが好太の彼女になってくれたらいいなぁ」
撃沈…期待した僕が馬鹿でした。
「それは…ありえない」
ここはきちんと否定しておかなきゃ…どんな誤解を招くかわかったもんじゃない。
「なんでー」
なんでってあんた…。
「梢ちゃん、可愛いし優しいし、最高じゃない」

可愛い…それは認めるよ、うん。でも、優しいっていいのはどう頑張っても頷けない。
「僕の好みじゃないし」
「へぇ。どんな子が好みなの?」
「…そうだなぁ」
目の前にいるんだけど…僕は起き上がり、優梨姉の目をまっすぐ見つめる。
優梨姉だよ…
そんな言葉を口にしたら、あなたは笑っていてくれますか…?
………。
「…教えない」
「えっ?」
「秘密」

「ケチー」
「ケチでいいよ」
「むー」
優梨姉は、頬を膨らませて僕を軽く睨みつける。…全然怖くない、むしろ、可愛いくらいだ。いつもお姉さんっぽいのに子供らしい仕草が可愛くて思わず微笑み返してしまった。
「あー…優梨姉は?」
「教えな〜い」
まぁ、予想はしてたけど。
「じゃあ、彼氏はいるの?」
どさくさにまぎれて聞いてみた。これは気になってたこと。優梨姉、美人だし彼氏がいてもおかしくない…軽く口調で聞けたのが奇跡なくらい僕は緊張していた。朝の弁当が僕の頭をチラリとかすめる。…彼氏のために作った、その答えが一番しっくりくる。

優梨姉が、僕に視線を返す。僕は優梨姉の目をまともに見ることが出来ず…なにか紡ぎだされるはずの口元に視線をおとした。
沈黙がじれったい…わずか数秒のはずなのに…聞きたいけど聞きたくない、そんな気持ちに挟まれていた。
優梨姉の口がかすかに開く…言葉が………

───キーンコーンカーンコーン

開かれるはずの口が一瞬にして閉じる。
「昼休み、終わっちゃったね」
「…うん」
「授業、始まっちゃう」
「そーだね」
僕の返事を合図に優梨姉は、立ち上がった。

「はぁ〜〜〜」
盛大な溜め息と共に保健室のベットに寝転がる。優梨姉は、とっくに授業に行ってしまった。
「なんだかなぁ…」
保健室の天井をぼーっと見つめながら、呟く。結局、聞きたいこと聞けなかったし。
「…寝よ」
すっかり気が抜けてしまった僕は先生のいない保健室という最高の場所で思うぞんぶん、寝ることにした。
なんだか僕、寝てばっかだな…
「くー…」




「ふぁ〜…よく寝たぁ」

SNSでこの小説を紹介

初恋の他のリレー小説

こちらから小説を探す