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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 24

理不尽な思いを抱えながらも僕はうつむいて震えを必死に堪えていた。
「………」

いつだって僕は"仮面"を被っていた。利用されても、軽蔑されても…他人が期待している自分を演じ続けていた。
僕が理解したことを悟ったのか、西島さんは僕に背を向け、歩き出す…プリントを取りに行くため…自分の"役割"を果たすために………。
頭がクラクラする。
手放しそうになる意識を必死に保ちながらなんとか立っていた。
僕の周りを沢山の人が通り抜けて行く…数々の笑い声…全てが僕に対する嘲笑に聞こえる。
やめろっ!!笑うなっ!!…やめてくれっ!!

―ガシッ!!
腕をつかまれて、我にかえった。腕を掴んだ人物に目を向ける。
「優梨姉…」
心配そうに僕をのぞきこんでいる優梨姉がいた。
「大丈夫?」
「…え?」
「顔色、悪い」
僕は一体どういう顔をしているのだろうか…よくわからない。
「あぁ、大丈夫…」
うっすら微笑みを浮かべると、優梨姉の顔が厳しくなった。

「大丈夫じゃない!」
周りを歩いていた生徒が優梨姉の大声にぎょっとしてこちらに視線を向ける。しかし、優梨姉はそんな視線を気にもせず、強い瞳を僕に向ける。
「保険室、行こう?」
予想外の力でひっぱられ、僕は保険室までなかば無理矢理連れていかれた。
幸か不幸か保険室の先生は外出中らしい。
「座って」
長椅子に座らされ、優梨姉が隣から顔をのぞきこんでくる。座ったことにより、気持ちの悪さがすーっとなくなっていく。…なんとか落ち着きを取り戻せたらしい。
「朝、無理させちゃったかな?」
優梨姉の言葉に慌てて首をふる。
「優梨姉のせいじゃないよ」

「でも、疲れた顔してる」
「僕はいつもこんな顔だよ」
おどけるほど余裕の出てきた僕にほっとしたのか、優梨姉は優しい微笑みを浮かべた。
―フサァッ
優梨姉の手が僕の頭を優しく撫でる…今だけ、今だけは…甘えてもいいかな。
目を瞑って、心地良さに身をまかせる。

「なんか…眠くなってきた」
優梨姉の優しい手つきが心地よすぎて、僕は段々眠りの世界へ誘われそうになっていった。
「寝てもいいよ」
「じゃあ、ちょっと…寝ようかな」
保健室にベッドがあるって素敵。
「好太」
立ち上がりかけた僕を優梨姉が呼び止めた。
「なに?」
優梨姉に視線を向けると、
「はい」
ポンポンと自分の膝の上を叩いている。
膝の上って…え?
「どうぞ」
も、もしや、膝枕をしてくれちゃったりするわけ!!??
ボッと凄い勢いで顔が赤くなるのを感じた。
眠気なんて一瞬でさめた。
ひ、膝枕!?優梨姉が、膝枕を………
夢だ!これは夢だっ!こんな展開ありえない!

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