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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 22


―ザッザァーン



「…好太、ありがとう」


小さな小さな優梨姉の声が波音と共に僕の耳に響いた。


「………うん」





「重役出勤ね」
昼休み、教室に入った直後に言われた…。
「西島さん、おはよう」
「もうそんな時間じゃないでしょ?」
「…こんにちは」
「…面白くないわ」
今日の僕は寛大だぞ。優梨姉と濃ぉーい時間を過ごしたんだ。少々のことではへこたれないぞ。

「なに、ニヤニヤしてるの?」
「…ちょっとね」
「優梨菜先輩関係ね」
「えっ!?なんでわかったの!?」
言った後に慌てて口を抑える。当てずっぽうかもしれないのに自分からバラしてどうする!?
「渋谷君って単純ね」
予想通りのお言葉…ふ、ふん、そんな言葉、想定範囲内だよ。
「梢」
突然声が割り込んできた。
あ、こないだ僕を集中攻撃したバレー部の奴。
「ここの問題、教えてくれよ」
僕と西島さんの間に体を無理矢理はいりこませてくる。僕の存在なんて軽く無視だ。…なんだ、こいつ。
「三村君」
さっと笑顔になる西島さん。…凄い勢いで優等生になりましたよ、この子。

「ちょっと待ってね、今、渋谷君に数学教えてるから」
「…は?」
「…そうよね、渋谷君」
ニッコリと笑顔を向ける西島さん…目が笑ってないけど。
「…多分」
「だから、後でいいかしら?」
「こんなヤツ、いいじゃんー」
馴れ馴れしく西島さんの肩に手を回す三村。
「あははー…」
西島さんはその言葉に乾いた笑いで対応する…というか、なんか怒ってるように感じるのは僕だけ?負のオーラを凄く感じるんですけど…。
「すぐ済むから…ちょっと待って?」
少し甘えたような声とうわ目使い…普通の男なら完全ノックアウトだ。三村とて例外ではなく、嬉しそうに鼻を鳴らすと
「仕方ないな」

「馴々しく触らないでよね・・・」
三村が上機嫌で去っていく後ろ姿を見ながら西島さんはボソッと呟く。
な、なんか物凄く恐い・・・
「さて、渋谷君…言ってもらおうかしら?」
「…何を」
「優梨菜先輩と何してたかよ!」
なんか西島さんいつも以上に恐い気がする・・・

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