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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 18

「大勢のほうが楽しいし…いいでしょ?」
僕に向かって、微笑みかける優梨姉…断れるはずがない。



「あはは、可愛い〜」
「でしょ?」
「これは、いつのですか?」
「これはね…」
アルバムを前に盛り上がる優梨姉と西島さん…なんでこうなるんだ?僕の予定では…

「懐かしいね〜」
「本当…この頃はよく優梨姉に助けられてたっけ?」
「そうだったね!好太、泣き虫だったもんね」
「…今は違うよ」
「ふふ、そうなの?」
「もちろん…今は」

「好太?」
「えっ!?なに!?」
優梨姉と西島さんが不思議そうな表情で僕を見ている。
「どうしたの?ボーッとしちゃって…」
どうやら妄想癖がついてるみたいだ…気を付けなくちゃ。

「ちょっと…トイレ」
顔を洗ってこようと立ち上がる。
昔の記憶を頼りに洗面所に向かう。家の中は静まりかえっており、両親はいないみたいだ。

―パシャッ

冷たい水を顔にかける。うー…タオルタオル。手で辺りを探ると布に手が触れる。ガシガシと顔を吹いて顔をあげると目の前に優梨姉の顔があった。
「うわっ…!ゆ、優梨姉!?」
優梨姉は、タオルを渡してくれたらしい。しかし、なぜここに?
「どうしたの?」
「お茶いれようと思って」
「そう」
会話が途切れる。優梨姉の表情がこわばっている。どうかしたのだろうか?
僕が何かを言い出す前に優梨姉が口を開いた。
「なんか…怒ってる?」
「…え?」
「機嫌悪いし、楽しくなさそうだし…」
優梨姉の顔が少し歪む。大きな瞳がうるんでいる。
…僕は馬鹿だ。
誰よりも大切な人を悲しませている。せっかく一緒にいるのに…。
「…ごめん、優梨姉」
全てに対する謝罪。優梨姉は、真摯な瞳で僕を見つめてくる。次の言葉を待っているようだ。
「楽しいよ。優梨姉と一緒にいるんだ、楽しいに決まってる」
ちょっとキザだったかな…自分でも顔が赤くなるのがわかる。優梨姉を見ると安心したのか表情が緩む。

「良かった…私、不安だったの。昔に戻りたがってるのは私だけで、好太は変わっちゃったんじゃないかな、って…。髪、切ったでしょ?見た瞬間、好太が遠くに行っちゃった気がして…悲しかった」
…優梨姉は昔のような関係を望んでいる。その事実は少なからずショックだった。
「僕…変わりたいんだ」
「…え?」
思わず口をついて出た言葉に自分でも驚いた。しかし、溢れだした本音は止まらない。
「でも、一つだけどうしても変えたくないことがある…これからもきっと変わらない想いがある」
今は言えない…まだ変わってないから。
「優梨姉、お願いがある」

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