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仮面少年の恋
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仮面少年の恋 15

ゴリ男は涼しげな顔をしている。
いつか倒す!!
という宣言は心の中だけに留め、立ち上がった。
「おいっ!!集合しろっ!!」
体育教師の元に皆集まる。
「今日はバレーをする。試合をするからな」
試合か…嫌だなぁ。スポーツは得意じゃないし、なによりチームワークが必要な試合は最も苦手だ。


試合開始。
僕はコートの隅のほうに立って、一応構える。…ボールがこないことを願いながら。
しかし、試合開始早々、ボールがこたらに向かい飛んできた。
―バンッ!!
勢いよく顔面直撃。かなり痛い…。
「…わりぃ」
笑いまじりに打った奴が言う。言葉だけで悪いなんて思ってなさそうな態度。確かバレー部の奴だ。
顔をおさえたまま、立ち上がると、周りも冷笑を浮かべている。
しかし、休む間もなく次の球が飛んでくる。
「…っ!!」
今度は気を付けていた為、顔面直撃は免れたものの、肩にモロにぶつかった。
…今、ワザと?
「しっかりしろよな」

「ったく。誰かさんのせいで負けそうじゃないか」
味方チームも敵ということか…
くそっ…!!
「もういっちょ!!」
―ボスッ!!
今度は腹に直撃だ。かなり痛い…うまく息が出来ない…立っていられなくなり、うずくまってしまった。
「ちょっと変わったからって、いい気になってるからだよ」
そんな言葉が聞こえてきた。
…なるほど、そういうことか。
「おらっ!」
バレー部の奴からの強力なスパイク…
避けきれないっ!!
―パシッ
いやに軽快な音だな…それに痛くない。恐る恐る顔をあげるとそこには大きな手。
片手でボールを掴んでいる人物…ゴリ男だ。
「いつまでもうずくまってんじゃねぇ」

助けてくれた…のか?
「見てるだけじゃつまんねぇ」
ゴリ男はそう言い放つと、一人をコート外に追い出した。しかし、誰も文句を言わない、それどころか青冷めている…?
「さぁ、ゲーム再開だ」
ニヤリとゴリ男が笑う。凄い迫力だ。僕は呆然と立ち尽くしていた。その間にゴリ男が何度も打つ、打つ、打つ…。
「…凄い」
思わず言葉がもれてしまうほど、ゴリ男は凄かった。僕を狙い打ちしていたバレー部の奴がたじろいているほどだ。

ゴリ男の活躍で試合はあっという間に終わった。
「強いんだなぁ」
試合に勝った興奮で声を上擦る僕を冷静に見下げるゴリ男。
「普通だろ」
うわ…クール。
「というか、お前弱すぎ」
なっ…そりゃ、そうだけど何もはっきり言わなくても…。
「苦手なんだから仕方ないだろ」
何か反論されるかと思ったが、ゴリ男はひょいと肩をすくめただけだった。
「お前、なんで髪切った?」
突然の質問。この男、全てが突然すぎる。
「…イメチェン」
さっきの女の子達の言葉をそのまま使うと、ゴリ男はふっと鼻で笑った。
「な、なんだよ」

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