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仮面少年の恋
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仮面少年の恋 13

教室に入った瞬間、ざわめきが一瞬にして止まった。皆が目を丸くして僕に注目している…視線がかなりイタイ。
女の子の中心にいた人物だけは、驚かなかったみたいだけど…その人物は僕に視線をむけて、笑った。
「おはよう、渋谷君」
「…おはよう、西島さん」
一呼吸おいて…
「「「「えぇーーー!!!!」」」」
恐らくクラスが一体になった初めての瞬間。あとは、クラス中が混乱の渦に巻き込まれてよく覚えていない。
「渋谷!?渋谷って誰だ!?」
「仮面少年が!?」
「うっそー…」
など、まぁ、主に驚きの声が聞こえてたけど。その騒ぎは、先生が来るまで続いた。

授業が始まっても、皆がソワソワして僕にチラチラ視線を向ける。うー…ちょっと髪型変えただけじゃないか…まぁ、僕ですら驚くほど変わったけど。西島さんだけは、おかしそうに笑いを噛み殺している。
…あ、目があった。
『助けてよ…』
『無理無理』
『視線がイタイんだけど…』
『いいじゃない、悪い反応じゃないし』
自然にアイコンタクトで会話してた。
『見て楽しんでるでしょ?』
『あははっ!バレた?』
バレバレだよと思いながら窓の外を見る。
今日もいい天気だな・・・
こんな日は・・・寝よう・・・
寝る姿勢を整えると、あとは簡単。薄れてゆく意識に身をまかせるだけ。
うん、気持ち良いー。窓を開けている為、風が優しく僕の頬をかすめていく。

『…好太、また寝てるの?』
あ、夢だ…とすぐにわかった。夢と現実の狭間でゆらゆら揺れている。悪くない感覚。
『優梨姉』
夢の中の僕が応じる。優梨姉は、ふわっとした笑顔を浮かべ、近付いてくる。一歩、二歩………そして、僕の目の前で止まり…
―ガシッ
「…おい」
う…?
「起きろ、おい」
うるさいなぁ…人が気持ち良く寝てるのに。
「…誰?」
顔をあげると、僕の首ねっこを掴んだ男がいる。クラスの…誰かだ。

「次、体育」
―ボスッ
首ねっこを掴んでいた手が離れる。自然に顔面強打。
「………ったぁ」
顔をおさえる僕を見て、誰かは不適な笑みを浮かべた。
「目、覚めたろ?」
こいつ…抗議しようとしたが、彼はスタスタと僕から離れて行った。
「良い傾向じゃない」
いつの間にか西島さんが側に立っている。
「なにが…?」
まだ痛む顔をおさえながら、西島さんに視線をむける。
「クラスの人があなたに興味を持った、ってことでしょ?」
…まぁ、確かに。今まで寝てても誰も起こしてくれなかったし。

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