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仮面少年の恋
恋愛リレー小説 - 初恋

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仮面少年の恋 12

顔をあげた西島さんは複雑な笑みを浮かべていた。
駅までの道、先程とは違い、二人の間を沈黙が包む。
もしかしたら…
僕の中に一つの考えが浮かぶ。
もしかしたら、西島さんも僕と同じなのかもしれない…
優等生という仮面を被り、演じている。
「今日は、ありがとう」
気が付くと駅にいた。西島さんは、いつものような笑顔を浮かべている…。
「じゃあね…」
僕に背を向け歩き出す。
行けっ!!
心の中で声が響く。だけど、僕の足は動かない…弱い自分が…汚い心が邪魔をする。関わるな…と。
僕は…………変わるんだ!!
「西島さんっ!!」
僕の声に気が付き振り替える。
「今日はありがとう!助かったよ!」
こんな大きな声を出したのは初めてだ。
西島さんはクスリと笑うと、
「私も楽しかったよ!あとさ・・・声そうやって大きな声だした方がいいよ?それじゃまたね!」
そう言うと西島さんは人込みに消えていった・・・
「おはよー」
「お〜…昨日のさー」
「ねぇねぇ、今日の英語の宿題…」
同じ制服で賑わう通学路。今日はMDを聞いていない。僕は、期待していた…周りの反応を。だからこそは、今日はどんな声も聞き逃したくなかった。
…しかし、僕の期待に反して、誰も僕に視線をむけていない。少し、がっかり。でも、自分が思っているほど、周りは自分のことを気にしていないのだ、ということに気付き、心が少し軽くなった。
ポンッ
自転車をとめていると、肩に人の手が置かれる感触。振り返るとそこには…
「おはよう」
ニッコリ微笑む優梨姉の姿。
「おはよう、優梨姉」
「髪、切ったんだね」
「う、うん。どうかな?」
「うん、似合ってるよ」
…あれ?ちょっと期待外れ。もっと、大袈裟に反応してくれると思ったんだけど。
「そういえば、昨日、懐かしい写真が出てきたんだよ」
話題も変わってるし。
「…写真?」
「小さい頃の」
「うわ…懐かしい」
「好太の写真もいっぱいあったよ」
「見たいような見たくないような…」
「あ、見に来る?」

「うん。行こうかな・・・」
「じゃあ放課後一緒に帰ろう?」
「うん。」
まだ学校があるのに放課後の予定を作ってしまった。とりあえず一日を頑張る活力にはなりそうだな・・・
二人で少し話をしながら校舎に行く。
「それじゃ。放課後ね?」
「うん。放課後。」
優梨姉は何度か振り返りながら手を振り教室へ向かっていった・・・
さて僕も教室へ行こうかな・・・

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