パニックスクール 53
勝ったにしろ負けたにしろ皆が笑いあっている点から親睦会としては成功した事になるだろう。
「それじゃ、また明日。学校でね」
「おう、じゃあな」
洋平と光恵が別れの挨拶を交わし、互いの家路に向かう。
途中までは絵美とも一緒だ。
流石にナース服の格好ではなく、普段着である。
駅のトイレで着替えたのだ。
実は最近のトイレでは着替え用のボードが設置されている事が多い。
「ねえ魚崎君、この後時間ある?」
絵美が洋平に話しかける。
「あぁ、如何した?」
「ちょっとだけ……公園に寄って行かない?」
「そうだな。」
誰も居ない夜の公園、二人はブランコに腰掛ける。
「今日はお疲れ様。」
「斉藤こそありがとな。カレー旨かったよ。」
「いえいえ。」
「そういえばこないだ店手伝ってもらった御礼してね〜や。明日の帰りに行くか?」
「うん……ありがとう。」
「さてと……夕飯食ってくか?」
「……魚崎君に任せる。それより……寒くなってきたからさ……手握っても良い?」
「ああ、こんな手でよかったら。」
鈍いため何も考えずに手を差し出す洋平。
「ありがとう。」
手を握り返す絵美。
「わっ、すげえ冷たい。もっと早く言ってくれれば……」
「うん……ありがとう。」
一時の幸せに浸り、歩く二人。
「なあ、斉藤?」
「如何したの?魚崎君。」
「今日のとこは送っていくよ。飯はまた今度な。」
「……うん。楽しみにしてるね。」
その時であった。
「あれ〜もしかして絵美ちゃん?」
後ろから女性が声をかけてきた。
「え?あ、お姉ちゃん?」
声をかけてきたのは絵美の姉の斉藤 絵莉(さいとう えり)であった。
19歳の若さと、バスト104p(Iカップ)ウエスト61p、ヒップ84pと言うスリーサイズを武器に今はグラビアアイドルとして活躍している。
「あら〜その子カレシ〜?」
「そ、そんなんじゃ……」
「お、俺は斉藤の友人で……」
否定する二人だが
「手なんか繋いじゃって〜隠さなくたって良いのよ。」
「あ……」
離そうとする絵美だが
「手、冷たいんだろ?」
意図を察することが出来ず離そうとしない洋平。
「魚崎君……」
泣きそうな目で訴える絵美。
「ふふ、青春ねぇ……」
笑いながら眺める絵莉。
「お姉ちゃん……本当に違うの……」
「隠さなくて良いのよ。良い感じでしょ?」
「まだそんなんじゃ……」
顔を真っ赤にする絵美に
「『まだ』でしょ?」
と追い討ちをかける絵莉。
「あ……魚崎君!離して。私ひとりで帰れるから!」
絵美は真っ赤な顔をして手を走り去っていく。
「……俺…何か悪い事したか?」