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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 976

黒崎孝義はクライアントの女性を幻覚から解き放つために、毎回、心のなかで焼け死ぬ。毎回、火災現場にいて、死の恐怖を受け入れ、身を焼かれるような感覚でもあり、それは火をつけられた煙草や焼肉屋で焼かれ過ぎた肉や油のかすになった気分でもある。
くそっ、楽な仕事はないもんだと黒崎孝義は目を閉じても女性の幻の痴態が視えなくなったのを確認して、今回も無事に心のつながりを切断できたことにホッとする。
幻覚触手プレイをしながらセックスをして、相手が絶頂するのと、自分が絶頂を感じるのがぴったり合うと、業火に身を焼く感覚を必要とせずに、心のつながりを切断できる。
藤崎柚希との幻覚を使ったセックスとクライアントとの幻覚触手プレイには、こうしたちがいがある。
聖戦シャングリ・ラでは大魔法の天使の降臨の幻が天空から出現して、浄化の光で異界の門が消滅し、辺境の森と蛇神ナーガの異界のつながりが断たれる。
黒崎孝義とクライアントの女性の心のつながりを強引に切断する力。聖戦シャングリ・ラの世界であれば、焼け落ちる遊郭で怨嗟を叫ぶ祟りの力のようなものかもしれない。死ね、死ね、みんな死ね。
死とは、生の連続性を切断する力である。
黒崎孝義のつながりの切断には、江戸時代に吉原遊郭が火災にみまわれて死傷者を出した記憶の欠片や、空襲で焼かれた人たちの苦悶や、火炙りにされたジャンヌダルクや、さまざまな火と死の情報が影響しあっているのだろう。
黒崎孝義の切断の苦悶と幻覚触手プレイに溺れるクライアントの女性の愉悦。
1度につながりを切断するクライアントの人数が増えるほど、黒崎孝義の苦悶も激しく強くなる。
鷺原聖華が手配した女性3人を満足させて、つながりを切断した時、黒崎孝義は気絶寸前だった。わかりやすくいえば、そのまま本当に死ぬかと思った。
鷺原聖華は親切のつもりでやった事が、黒崎孝義にとって迷惑な行為であることもある。
なぜ、藤崎柚希との心の切断がスムーズに気持ち良くできるのか、黒崎孝義にはわからない。
藤崎柚希は黒崎孝義と一緒に気持ち良くなりたいと心から望んでいる。クライアントの女性たちは、黒崎孝義の気持ち良さなど一切求めていない。
カウンセラーの藤崎柚希とクライアントの女性たちとのあいだには、黒崎孝義に対する愛情の強度のちがいがある。
この切断が、クライアントの依存と関係してくることに黒崎孝義は気づいていなかった。
肉体の限界から離れた女性たちは、意識では永久に弛緩、緊張、絶頂、弛緩とサイクルで愉悦を感じ続ける。
男性は緊張、絶頂、弛緩して完結してしまう。男性が絶頂の射精寸前で中断されたら、かなりもやもやしてしまうが、女性はどこで中断されても、サイクルの途中で、心にわずかにもやもやとしたものが生じる。
実際の肉体の交わりならば、女性には疲労や弛緩していく過程の緩やかに波が変わっていくあいだの恍惚がある。そこで満足感を得る。
相手の男性と快感を一緒に分かち合いたいと望むときには、愛している男性を気持ち良くしてあげられたと実感した悦びは、肉体のもたらす恍惚を上回る満足感がある。そして、同じタイミングで絶頂できた時の悦びは、心の孤独感を忘れさせてくれるほど自分と相手の愛情がひとつになったような、命がひとつになり蕩けてしまったような陶酔がある。
クライアントの女性たちは、その感覚が失われた性行為しかあじわえていない。
愛情の力がもたらす満足感を求めていることを、幻覚触手プレイの快感は隠してしまう。
その結果、愛情を求める依存を女性たちは抱え込むことになる。

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