PiPi's World 投稿小説

媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

の最初へ
 932
 934
の最後へ

媚薬の罠 934

この百年戦争と呼ばれる戦争は、ジャンヌ・ダルクのおかげで、イギリスを祖国から追い払い、フランスは自分の国を守り勝利をおさめた。最初は黒太子エドワードでイギリスが勝利し優勢だったが、男装の少女ジャンヌ・ダルクがあらわれて戦況をくつがえし、フランスが勝利したのである。
捕虜となったジャンヌ・ダルクは初めは丁重に扱っていたイングランド軍だったが、ジャンヌ・ダルクの解放の身代金がフランスから払われないとわかると待遇を一変した。
彼女は危機を感じて、囚われていた塔からの逃亡を決行した。だが、飛び降りた時に足を捻挫してしまい、再び囚われの身となった。
何回かにわたって開かれたジャンヌに対する宗教裁判で異端者と決めつけられ、最も苛烈な火刑と断じられた。
その身が灰燼に帰しては最後の審判の際に復活すべき肉体がなくなってしまうという意味で残酷な方法が選ばれた。
しかも、焼かれる前に群衆に裸体をさらされるという屈辱も与えられた。19歳の少女は、キリスト教の異端者として処刑された。
火がかけられると、ジャンヌ・ダルクは3回イエス・キリストの名を叫んだ。

「エーロイ、エーロイ、ラマ、サバクタニ」(我が神、我が神、何ゆえ我を見捨て給いき)

火炙りにされながらイエス・キリストの名を3回叫んだジャンヌ・ダルクは、続けて煙のなかで、イエス・キリストと同じ言葉をつぶやいて死んだ。
彼女が男装して白馬にまたがり、戦場にあらわれた時、男性の持つ社会的な地位を持つ女性としてあらわれた。キリスト教の聖職者たちが女性からは男性と同じ権利を剥奪していた時代である。
ジャンヌ・ダルクは、キリスト教の聖職者たちが信者の暴力を自由に行使する権利を剥奪していた法の規制からは逸脱した存在だった。身代金は払われず、異端者とされて火炙りにされたのは、彼女の行動に対する民衆からの支持を、聖職者たちは警戒していた。
このジャンヌ・ダルクの公開処刑に関わるある噂がフランス国内に広まった。
不思議なことに焼け爛れた亡骸の中で心臓だけが焼け残って薔薇色に輝いていたという。何度も燃料が加えられ、どれほど炎になめられても、ジャンヌの心臓はまったく燃え尽きなかった。これを目撃した群衆は「やはりジャンヌは聖女だったのだ」と口々に叫びながら、深く悲しみ騒いで、その場にいた兵士たちにつかみかったという。
この噂は内乱状態だったフランスに和解をもたらし、一致団結したフランス軍はイングランド軍をブリテン島に追い出し、百年戦争に終止符を打った。
この頃、キリストの心臓を愛を表す特別なもの、すなわち「聖心(サクレ・クール Sacre-Coeur)」として信心する風潮が強まっていた。
このため、ジャンヌ・ダルクを聖女と崇めた人々には、彼女の薔薇色に焼け残った心臓の噂は、その後の戦いに強い影響を与えた。
アドルフ・ヒトラーは英雄に憧れた。だが、英雄の時代はジャンヌ・ダルクが異端者として火炙りにされたことで終わったといえる。死んでその身が灰塵に帰した空虚なる存在になって、ようやく英雄になった。民衆の支配者として権力を握る英雄ではなく聖女として。
ジャンヌ・ダルクが生還すれば彼女に指揮権を奪われる男性の貴族たちがいた。聖職者たちはイングランド軍との戦争や国内の混乱の終結は望んでいたが、変革は望んでいなかった。

SNSでこの小説を紹介

レイプの他のリレー小説

こちらから小説を探す