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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 910

常識的に生活していたら、いずれ不要なバーツを交換されるように死ぬ。社会のシステムでは、特権的な階級と認められる少数の者以外は、取り替え可能なバーツで、代わりはいくらでもいる。
しかし、藤井茉莉の代わりは、水越ユイにとって存在しない。
常識のシステムから少しだけ逸脱すること。それだけで自殺へと導かれる心を変えることはできる。
自分は世界にひとりしかいないこと。しかし、孤独ではなく、少なくともひとりは死んで欲しくないと心から願っている人が同じ世界にいること。
それは自分の存在が、世界の中で愛し愛されているかけがえのない存在だと感じることである。
それは交換可能なシステムの中では、小さな反逆である。
彼女は絶対に奪わせない。
水越ユイは性の快楽で藤井茉莉を生き残るための洗脳するために、共演した女優が自殺する前に水越ユイに郵送してきた合成ドラッグを使用することにした。
藤井茉莉と水越ユイが使用している合成ドラッグは、天使の涙、ange、と呼ばれている依存性の強い粗悪品だが、使用時の性的快感は強烈な効果をもたらすドラッグだった。
共演した女優と水越ユイは親友だとおもっていたが、女優はレズビアンであることを隠していた。そして、水越ユイに合成ドラッグと自分がレズビアンで水越ユイに恋をしてきたことを告白する手紙を郵送して、自殺してしまった。悲劇のような自殺であった。
水越ユイは、自殺した親友の女優が伴侶ではなかったと気づいていない。
疱瘡神の隠(おぬ)の3人のように愛し合って生き残る伴侶の結びつきを感じることができない。
もしも自殺した女優が水越ユイの伴侶だったとしたら、悲劇は長く続く人生の恋愛の物語としてすりかわっていた。
藤井茉莉や水越ユイを使用したドラッグの依存や後遺症から救う手段は、すでにこの世界に存在している。市販されている人気のラムネ菓子は、檜垣隆史が調合した成分が含まれていて、合成ドラッグの依存や後遺症を癒してくれる。
自殺した女優が市販のラムネ菓子を口にしていれば、自殺という手段を選らばなかっただろう。
孤独な中年の数学教師にアリスや、彼の手帳の記録にある他の100人以上のモデルになった少女たちは、人生の生きる時間を与えた。
少女たちは撮影したり、一緒に歌ったりお菓子を食べたりするだけでなく、大人の人に言ったらダメというようなことをする先生を愛した。
ルイス・キャロルになること。それは、彼が世界の「小さなお友だち」から愛され続ける加護を手に入れる儀式だった。
世界を理論的に理解したかったひとりの男性は、世界のシステムに適合することに憧れ続けた。しかし、適合しきった先には、死が待っていたが、伴侶の「小さなお友だち」の少女たちは、彼を風邪をこじらせて死ぬまで、生かし続けた。
藤井茉莉がなぜ作家になろうと思ったのか。それは、子供の頃に読んだ「不思議の国のアリス」がきっかけだった。彼女も時代を越えて存在する「小さなお友だち」のひとりだった。
生き残ることが幸せなことか誰にもわからない。それは、小さな反逆で運命をつかみとっていくことだからである。
幻想界から、藤井茉莉は過去の真理亜、つまり水越ユイを創作してしまった。
それは小さな儀式であった。
彼女に生き残る運命を与えるために銀座の高級会員制クラブ「パンドラ」の島田理沙子も、出版社やAV作品製作会社の社長たちも、出版社の編集者も、ふたりの対談が行われるホテルまで水越ユイを運んだ運転手の吉田英司、彼は檜垣隆史がお気に入りのタクシー運転手まで、藤井茉莉の運命を生き残る運命へ導く協力者として動かす力があった。
社会のシステムは利益を生み出し続ける経済を、人が群れとなり生存のための旅と生活を始めた時にできた階級闘争の習性を取り込み作り出された。
あらゆる時代の情報が漂う幻想界や本能の性欲などの力、想像することで創作する力など、社会の常識から逸脱する力を取り込みシステムを維持しようとしてきた。しかし、個人よりも群れの存続を維持するための階級闘争を取り込んだ時、すでに最終的に破綻して自滅する可能性がふくまれていた。
死への欲望、それは生への渇望の放棄としてあらわれる。生への渇望がある限り死への欲望は光と影のようにある。

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