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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 901


「え、あ……んんっ……ん」

立ち上がった藤井茉莉に、水越ユイは艶然と微笑んで近づき唇を奪った。
小柄な藤井茉莉より、水越ユイの方が少し背丈がある。
艶かしい濃厚なキス。対談の前に食べたシュークリームのクリームに注入されていた合成ドラッグの効果が藤井茉莉の身体に影響を与え始めている。
ドラッグの心身に与える効果の中での情熱的な濃厚なキスの感触が、藤井茉莉の頭をぼんやりと蕩けさせていく。
藤井茉莉が小説で、想像界から言葉で紡ぎ出してしてしまった水越ユイの約3年間の性体験の記憶。それが真実だとすれば、真理亜がレズビアンになっている可能性を、緒川翠ならば想像できていた。しかし、藤井茉莉は、創作するとき世界を想像するよりも、過去の官能小説をいかにアレンジするかしか考えなかった。藤井茉莉は、自分が虚構と思い込んでいた世界にのみ込まれていく気がした。
緒川翠が聖戦シャングリ・ラで描いた、蛇神ナーガの異界へのみ込まれると、そこは淫獄なのは、現実感の喪失の比喩である。また宗教は「民衆の阿片」とカール・マルクスが比喩としているのは、システムについて思考することが奪われたファシズムについて語っている。
緒川翠が創作に想像力をフル活用しようとするのは、性別や年齢などあらゆる規範やタブー、抑圧を越えて純愛と性愛が密接に関わる関係を作品に落とし込む工夫を、売れる作品を描かせようとする編集者の検閲の目からかいくぐるためだけではない。圧倒的な暴力を体験し、理解しているからである。
檜垣隆史とのセックスの愉悦は、緒川翠から、考える力を放棄させる圧倒的な暴力でもある。
緒川翠の想像が悲劇を想像しないのは、圧倒的な愉悦の前では死を選ぶことよりも、圧倒的な愉悦に生きたいと思わされる影響力が、世界には存在していると理解しているからである。
世界恐慌と第二次世界大戦。
そして、ファシズムについて。
ファシズムとは何か。ファシズムとは、簡単にいえば独裁主義のことである。
大衆動員を積極的に利用し、市民的自由や人権を無視する国家主義を掲げ、反対派を弾圧する。この政治システムや思想が、ファシズムといえる。
代表されるのが、ムッソリーニのファシスト党やドイツのナチ党。彼らは合法的に、自分たち以外の政党をすべて解散させ一党独裁体制を確立した。
このような政治体制が生まれた経緯には、当時の世界恐慌による貧困などの社会的状況が、密接に関係している。とりわけ一定の世論の支持を得て、大衆的な基盤を持っている点が、従来の独裁システムと違うところである。

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