PiPi's World 投稿小説

媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

の最初へ
 890
 892
の最後へ

媚薬の罠 892

「ミロのヴィーナス」ではないが、彼女の創作する作品の登場人物たちは、必ず何か欠落している。
その欠落をセックスやSMプレイで埋め合わせている登場人物を書くことだけしかしてこなかった。
だから、彼女は執筆活動にとても退屈していた。
彼女にとって受賞した作家の肩書きは、システムの中を渡り歩くために獲得した宝物である。
収入になるから書いている、稼げるうちは書いて儲けておこうという考え方しか頭の中になかった。
島田理紗子は27歳の官能小説家の考え方を聞き出すために、生まれ変わりの話を話題に出して、細菌という言葉を使われて悪意を感じた。
飲食店で、細菌という言葉は無理に話をふらない限り会話では使われない。研究者が来店しても気を使い、できるだけ避ける。
コロナウイルスの感染症や食中毒など接客をする飲食店で細菌という言葉から、他の客が聞いて連想する可能性がある。作家は言葉で創作して商売している。わざと彼女が大腸菌や細菌という言葉を口にしている。目立つために、人前で毒舌をふるう客もたまにいる。
毒舌家は大きく2つに分けられる。
周囲の者たちより自分の立場を強く見せたい者と、もともと自分の発言が周囲の者たちにどんな印象を与えるのか無自覚な者がいる。

「確率で言えば、私たちがこうして出会う確率は世界の人口を考えれば、とても低い確率です。私たちは、とても幸運ですね」

島田理沙子は若い官能小説家を連れてきた出版社の社長の顔を立てるために、すかさず言うと、社長のおかわりの酒をそばにつかせたホステスに用意させた。
出版社の社長は、文学賞の過去20年間の応募総数を話した。そのなかでも彼女の作品は優秀だと絶賛して、とても貴重な作家だと誉めることで、若い官能小説家の毒舌をどうか許してやって欲しいと態度で、理沙子に伝えてきた。
理沙子は微笑みを社長に返して、応募総数の多さに驚いてみせた。

(それだけ応募総数があるということは真似できる素材が、それ以上の数だけ書店やネット上で売られてるってことだから、今回の受賞は宝くじに当選したみたいなものね)

若い官能小説家はそう思いながら、酒のつまみを口に放り込んだ。
彼女はAIに今まで出版された膨大な量の官能小説や官能シーンがある小説を、誰かがスキャンして入力して、冒頭や、人妻、女子大生などキーワードで選べるようにして組み合わせさせれば、執筆はもっとスムーズにできるし、読者は生成ソフトで自分の好みの官能小説を自分で作って読めて、出版社はその情報の使用の版権で利益が得られるだろうに、まだ本を出版して書店に並べることにこだわっている社長を同情していた。
この若い官能小説家は自分は官能小説の生成ソフトだと思いながら、執筆を行っていた。

すでに亡くなった有名なマンガ家の作品を、人工知能に学習させて、そのマンガ家の新作が作れないか実際に試されたことがあった。
確かにそのマンガ家の過去の作品の登場人物を組み合わせたような見た目の、よく似た人物の絵が出来上がってきた。
表現として、マンガは記号化した画風があるので、表情やセリフなども自動生成された。あらすじも学習させて、主役や脇役、大まかなあらすじもふくめて設定まで、半年ほどで自動生成できた。
しかし、その作品はたしかに亡くなったマンガ家の画風で、そのマンガ家が描きそうなマンガの作品1本分のプロットができた。

SNSでこの小説を紹介

レイプの他のリレー小説

こちらから小説を探す