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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 891

どこかの村、故郷の村、とにかく村へ娘は下山して長者の家に、本当の姿は隠して、老婆の姿で下働きとして雇われる。
娘が「姥皮」を脱ぐのを長者、または、長者の息子が目撃する。長者、または、長者の息子は娘に惚れる。恋の病で寝込むパターンもある。
娘が「姥皮」を脱いで、村人や家の者たちに正体を明かす。
長者、または長者の息子と正体を明かした娘が結ばれる。
通過儀礼として、父親と蛇の約束という社会の掟を知らされ、掟に従い行動して「姥皮」を協力者から得る。
再び掟のある山から、村の社会に帰還する。役割を与えられ労働を行う。
もうひとつの役割としての結婚を行う。
こうした物語では「姥皮」のような宝物によって娘は1度、社会のシステムから追放されて、社会に適合する姿を得ることで、村のシステムに適合する資格のような証を獲得する。宝物の獲得。
村から追放され山へ行き、宝物を獲得して村に帰還する。通過儀礼の物語は、ここで区切られることもある。
村に帰還したあと、宝物によってシステムに適合するが、宝物を手放すことによって、さらに新しい役割を与えられる。
蛇に嫁ぐこと、長者または長者の息子に嫁ぐこと。恋愛と結婚をめぐる社会のシステムに適合するための通過儀礼。

「私たちは今なお理論の支配下に生きている」

詩人ブルトンの言葉は、システムが人を取り込み、また取り込まれる者が望んで取り込まれる仕組みがあることを示している。理論またはシステム。
生産して財産を蓄積していくことを目的としたシステムは、消費よりも蓄積が上回るように際限なく生産させ続けるためのものである。まるで機械のように。
そのシステムでは、労働や生殖が行われて蓄積させるための掟が機能している。このシステムが導入される以前は自然の環境の中で生き、自然の環境のなかへ帰る。誕生は自然から追放され、生きるために行動し、死によって自然に帰還することを願い弔う物語を想像して世界との一体化、神と人との一体化という宗教を信仰していた。
それが獣皮葬という風習を生み出した。人はシステムや物語がまったくなければ生きることが耐え難いぐらい、世界は危険に満ちていて、不安だったのだろう。
初めのシステムは誕生と死の反復しか物語がなかったが、世界とひとつになるということは、人と獣が一体化することだという発想が生まれた。
人と獣は同じように生殖し、誕生と死を繰り返している。同じだろうという思考である。

「生まれ変わりですか、そうですね。あると考えたほうがおもしろいかもしれませんが、人に生まれ変わる確率はどのくらいなんですかね」

人の腸管、主に大腸には、約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌(腸内細菌叢や腸内フローラとよばれる)が生息している。
もしも、目に見えない細菌も生命で転生しているとすれば、膨大な数の細菌のひとつなら、人に転生する確率も上がるので前世は細菌だったと考えられる。だから、前世の記憶があったとして、増殖すること以外はわからないのではないかと銀座の高級会員制クラブ「パンドラ」で笑って話し、若い女性客は手に持ったウイスキーの水割りのグラスの中をじっと見つめた。

彼女は官能小説の文学賞の祝賀会のパーティーのあと、銀座でも高級店の「パンドラ」に出版社の社長に連れられて、社交界デビューの洗礼を受けるような気分で訪れた。
エロマンガ家のメイプルシロップこと緒川翠は、自分の創作する作品の世界や登場人物に思い入れをこめる作家だが、この若い女性作家は、記号のパズルを組み合わせるように創作する作家である。

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