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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 889

ギリシャ神話のタナトス。眠りの神ヒュプノスの兄。
ヘシオドスの「神統記」では、

胸の内なる心は鉄、肝は情け容赦ない青銅で、一度捕えた人間は自分のものにする。不死なる神々にさえ憎まれる奴だ。

と書かれている。
ヒュプノスと共に、大地の遥か下方のタルタロスの領域に館を構えている。
画家たちから、ヒュプノスと共に、背中に翼の生えた青年の姿で描かれることもある。
兄のタナトスが冷酷非情な性格であるのに対し、ヒュプノスは穏やかで心優しい性格で人の死もヒュプノスが与える最後の眠りであるという。
ヒュプノスも有翼の青年の姿で描かれ、疲れた人間の額を木の枝で触れたり、角から液体を注いだりして人を眠らせるという。
ホメロスの叙事詩イリアスでは、タナトスとヒュプノスの兄弟が、英雄サルペドンの亡骸をトロイアからリュキアへと運び、初めてタナトスは人格神として捉えられた。後世の神話では死神として臨終をむかえる人の魂を奪い去る。
人間に割り当てられた寿命が尽きると、その人間のもとへ赴き、髪を一房切り取って冥界の王に捧げ、それからその人物の魂を冥界に連れてゆく。
英雄の魂は、ヘルメスが迎えに来て冥府へ運ぶ。

「想像とは現実になろうとするものだ」

フランスの詩人アンドレ・ブルトンは、1924年に「シュルレアリスム宣言/溶ける魚」を執筆した人物である。
思想の土台にはフロイトの精神分析を置き、マルクスの革命思想、ダダの自在表現力なども加えて、シュルレアリスムという、理性や道徳による統制を外れた思考の書きとりの実践と定義した芸術運動を行った。
その運動は、世界各地にその影響を及ぼした。

「私たちは今なお理論の支配下に生きている」

こうした言葉を残した詩人ブルトンには、こんなエピソードが残されている。

まもなく春を向かえようとする、とある晴れた日、ニューヨークの公園で浮浪者とブルトンは出会った。
その浮浪者は首に「I am blind」と書いたものを掛けて物乞いをしていた。

(そうか。彼は目が見えないのか)

しかし通行人は誰一人として、彼にお金をあげる者はいない。
素通りだ。

芝生に座っていた詩人は立ち上がり、その浮浪者に近づいた。
彼は少しばかりのお金を浮浪者に恵み、その間に気づかれないように浮浪者が首から掛けていた
「I am blind」
という文字を、何やら書き換えて去った。

それから1時間後、その浮浪者は異変に気づいた。
おかしい、おかしい、なんだ?
誰一人お金を恵んでくれる人がいなかったのに、あいつが恵んだあとは、今度はすれ違う人、すれ違う人が恵んでくれるようになった。
物乞いの缶にはコインが溢れ、人々が同情の声までかけてくれるようになった。

詩人ブルトンは
「I am blind」(私は盲目)
という言葉をこう書き換えていたのだ。

「Spring,s coming soon. But I can,t see it」
(春がやってくる、しかし、私には見えない)

フロイトは、世間の常識にのってコカイン中毒を増やしただけではない影響を残していた。
フロイトの残した「死の欲動との闘いが生」という考えこそが、医学生だった青年ブルトンを、芸術と文芸の最前線に立たせ、多くの芸術家たちとのかかわりを持たせた。
フロイトの患者から思いついた言葉を聞き取る治療の方法から、自動書記という詩を書く方法を実践したことは有名で、世界をどうやってとらえなおして変えるかということを考えていた。
とらえかたを変えなければ「死の欲動との闘いが生」の世界だったからだ。

最も単純な「シュール」とは次のようなものだ。
両手に銃を持ちストリートへ出る。
そして、続く限りの弾丸を群衆へ向けてむちゃくちゃに撃ちまくる。

詩人ブルトンは人の心の衝動をこのぐらい危険だと、アジテーションのリップサービスもふくめてこう伝えている。
檜垣隆史は心の衝動、とりわけ性欲にふくまれた死の欲動(タナトス)をわざわざ精神分析や自動書記で詩を書いて探るまでもなく、よく知っている。
檜垣一族の当主の発作のような異常性欲の暴走に、ただ身をゆだねれば自分が衰弱しきって息絶えるだけでなく、理性がふっとんだ状態で女性を犯すことで、自分の母親のような心のバランスを崩した女性や、交わりの直後に意識不明の状態にして目が覚めることなく死なせてしまう犠牲者の女性が出る。

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