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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 885

このイリオス攻略戦が、のちのトロイア戦争へ発展する原因となった。
トロイア戦争の間にパリスの審判で選ばれなかったヘラとアテナは、パリスに敵対してギリシア側に肩入れしたという。
なお古い伝承ではパリスがアフロディーテの加護の下に置かれ、ヘレネが連れ去られたとするが、後にゼウスの娘であるヘレネは半神とみなされ、不敬を避けるためパリスが略奪したのは、ヘレネに似せて作られた雲で出来た像であったとする説話もある。
フランスの比較神話学者ジョルジュ・デュメジルは、ヘラ「主権」、アテナ「戦闘」、アプロディーテー「生産」の三つの階級が人間の社会を構成していると考え、パリスが「生産」の階級を重視し、アフロディーテを選んで、結局はトロイアを滅ぼしたとジョルジュ・デュメジルは考えた。
さて、騒動の原因になった黄金の果実だが、画家ルーベンスをふくめ絵画に描かれる時には、なぜか黄金の果実は、林檎として描かれる。
キリスト教の旧約聖書にある、アダムとイブが蛇にそそのかされ、知恵を授かる禁断の林檎を神との約束を破って食べてしまい、原罪を背負って楽園を追放される逸話のイメージが重ねられたのか、パリスの審判の黄金の果実は、林檎として画家たちによって描かれた。
ミロス島で組み立てられた女性像が、林檎を持っていたとすれば、パリスの審判で黄金の果実を獲得したアフロディーテの女神像だろうと考えられ「ミロのヴィーナス」と呼ばれることになった。
土の中から発掘された破片が、想像される記号だとすれば、両腕が無い美しい女性の塑像は、再構成されてギリシャ神話のパリスの審判の逸話と合わせられることで「ミロのヴィーナス」と呼ばれ、アフロディーテの女神像になった。
画家ボッティチェリが想像力で再構成したアフロディーテの誕生の祝福の中に、アネモネの花を描き美少年アドニスの死を、オリーブの木を描き、また散らばる花びらには、キリスト教の神罰のすべてを流し去る大洪水のイメージをふくませていた。エロスには、死のイメージが光と影のようにふくまれている。
「ミロのヴィーナス」の塑像は、両腕が奪われている。腕や手を拘束されたとしたら暴力に対し抵抗する力は半減させられている。にらみつける目、叫ぶ口、逃げる脚はあるが、押し退け、叩き、首を締めれば気絶させることのできる腕や手が失われている。同時に愛しく手で優しくふれて、腕で抱きしめることも失われている。他者とのかかわりの力が、半減させられている。
噂のように左手に林檎、右手は腰布を押さえている女性の塑像の姿で復元されていたら、それはギリシャ神話のパリスの審判の逸話を伝達するための道具にすぎなかった。目的も明確なので、オスマン帝国の官使に没収された時に、偶像崇拝の対象の塑像として、破壊後に廃棄されていた可能性は高かっただろう。

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