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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 883

農夫ヨルゴス・ケントロタスによって破片が発見されたとき、ミロス島はオスマン帝国統治下だった。
彼はフランス人の若者オリヴィエ・ヴーティエと発掘して組み合わせた女性像を、官吏に見つからぬように隠していたが、トルコ人の官吏に発見されて没収された。
後に、フランス海軍提督ジュール・デュモン・デュルヴィルは、この像を見て価値を認め、フランス大使に頼みこんでトルコ政府から買い上げた。
これは修復された後にルイ18世に献上された。ルイ18世はこれをルーヴル美術館に寄付した。この時に台座が紛失している。現在でもルーヴル美術館に管理されている。
以後、ルーヴル美術館を出て海外へ渡ったことはただ1度だけで、1964年4月から6月、日本の東京都の国立西洋美術館および京都府の京都市美術館で行われた特別展示のみである。
この際は日本への輸送時に一部破損が生じて、展示までに急遽修復されている。
この解体されていた女性の塑像は、台座の情報から1900年以上の年月を経て人の目にさらされたと考えられている。
この塑像が製作されたヘレニズム期の、「ヘレニズム」は「ギリシャ風」という意味である。人間中心的な合理的精神を基盤とする古代ギリシャの文化、思想で東方文化との融合が行われた。
「ヘブライズム」とともに西洋文明の二大源流となっている。時代的にはアレクサンダー大王の東征(紀元前334年)から、クレオパトラが最後の女王となったエジプトのプトレマイオス王朝の滅亡までの約300年間を指す。
この女性像は本来ヴィーナスではなかったという説もある。
当時ヨーロッパでは記録によると土着の神話はほとんど信仰されておらず、信仰の対象のほとんどがオリエント由来の神々だった。
異教の女神である証拠となる部分を切り落とし、ローマ由来の神の女神像として残そうと図ったのだという説がある。
地中に埋められていたのは幸運だった。この女性の塑像は大理石。大理石は変成岩で炭酸カルシウムが主成分なので酸に弱く、雨、特に酸性雨に触れると光沢が失われたり表面が風化してザラザラして苔が付着したりして劣化する。
アテネなどできちんと保管されていたのでなく、エーゲ海の小島で長く地中に埋もれていた。
偶像崇拝を禁じるオスマントルコ帝国の目を逃れるために地中へ埋められたという憶測もされている。
エーゲ海のキュクラデス諸島が大理石や大理石を研磨する黒曜石の産地。そこで切り出された大理石を使って彫像を作ったものの引き渡す前に何らかのトラブルがあって引き渡せず、制作した者が彫像をいくつかの部分に分解して、保管場所として地中に埋めたが、何らかの事情で掘り出せなかったので、そのままになったことも考えられる。
この女性の塑像は、上半身は裸で、腰布もはらりと落ちてしまいそうな雰囲気がある。
神殿で使われている他の女神像は、着衣姿で製作されているものがとても多い。上半身は裸であることが謎としてある。もともとはローマの女神像ではなかったのではないか、という説はそこから考えられている。
比較されることで、差異を感じさせること。差異そのものを感じることはできないが、差異を想像させるものを芸術と呼ぶならば、この女性の塑像は芸術的である。

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