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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 880

絵画の右側から左側へ、貝にのったアフロディーテは運ばれていくことが、ギリシャ神話の逸話を知っていればわかる。
再構成されたヒロインのアフロディーテは、西風ゼピュロスの大きな吐息と妖精クロリスの淡い吐息の煽情的な力で、想像の海から島へと運ばれていく。
キュプロス島では、ホーライ三姉妹の女神がアフロディーテのほうを向いて、女神の衣のドレスもしくはマントを差し出して待っている。
このホーライの動作はイエスに洗礼をほどこすヨハネと、同じ動きをしている。
ホーラのドレスには、ヤグルマギクの文様が一面に施されている。
この青色は、非常に高価な貴石ラピスラズリを砕いて作られる顔料ウルトラマリンを使用している。このことから、絵画の依頼者が、裕福で費用を惜しまなかったということがわかる。
首回りのギンバイカの葉は、結婚における忠誠と変わらぬ愛を表していて、ギンバイカの花は、ヴィーナスの花とも呼ばれる。さらに腰には、ピンクの薔薇をベルトにしている。薔薇は、愛と生殖能力の象徴とされている。
ホーライ三姉妹は、時間と季節、秩序をつかさどる女神。ゼウスと法の女神テミスの娘で、ゼウスが知恵の女神メティスとの間にアテナをもうけた後に生まれた子どもだとされている。
季節を正しく移り変わらせることから、花や植物を守護する女神とされている。
そのため、絵画などでは花を手にした優雅な乙女の姿で描かれる。結婚の女神ヘラを養育し、美の女神アフロディテの侍女を務めている女神たちである。
アフロディーテは、ホーライ三姉妹の女神たちの祝福により、ヒロインとしての役割を受け継がれる。
島に上陸することで、洗礼を受けるようにアフロディーテは衣をまとい女神となる。オリュンポスでは羨望の視線にさらされるだろう。
画家ボッティチェリのこの絵画では、現実ではあるはずの影が誰にも描かれていない。これは現実世界ではなく、神話の世界であることを表現している。
情報の記号は、想像の海で肉欲の塊と融合する。男女の交わりを求める欲望の方向性の風に運ばれ、新たな作品の島で、足りない部分が補充されてヒロインとして再構成される。
絵画の左下に描かれている植物のガマは「再生」や「多産」、アフロディーテの乗るホタテ貝は「生殖」や「豊穣」を意味している。右上のオリーブの木は、聖書では大洪水のあと、ノアの方舟から飛び立ち方舟に戻った鳩がオリーブの枝葉をくわえていて、ノアに上陸できる大陸があることを知らせた逸話から「平和」を意味する。 
島の女神ホーライの足元には、アネモネが咲いている。アネモネの花は「はかなさ」を、画面を舞っている薔薇は「愛」と、描かれている細部の植物にも画家ボッティチェリは、意味を暗示する記号を散りばめている。

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