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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 877

隆史と翠にとって、宗教や芸術の意見を交わしあうことは、愛撫しあうことのバリエーションのひとつなのだろう。
翠は小ぶりな乳房の敏感な先端を隆史に唇で吸われ、甘噛みされると、艶かしいあえぎ声がこぼれてしまう。
自分のあえぎ声が思った以上にやらしいと翠は感じる。頭の中に、恋人に乳首を愛撫されるエロマンガのヒロインたちの痴態や嬌声が思い浮かぶ。

「隆史さん、今、私のおっぱいをかわいがってるけど、千人のおっぱいを舐めてると思ってね」
「翠、それってどういうことだ?」

緒川翠は隆史の頭を抱き寄せて髪を撫でながら、愛撫されながら千人のエロマンガのヒロインたちが乳首を愛撫されているシーンが思い浮かんでいて、隆史は翠と千人のヒロインたちを相手にセックスしてるようなものだと話して聞かせた。

「千人のヒロインたちのなかから俺は、翠を見つけ出さなきゃいけないのか?」
「千人のヒロイン全員が私でもあるってことよ。今、隆史さんは千人のヒロインたちに、よしよしされてると思ってね」

隆史はたまに、緒川翠が他の女性たちには思いつかないようなことを話すことがあるので、少し驚くことがある。
それでも、よく話を聞いてみると、そういうことかと納得できることもあるし、まったくわからないこともある。
千人のヒロインの話はわかるような気がした。メイプルシロップというマンガ家の心には、まだ作品に登場していない千人のヒロインが待機中で、翠の身体を通じて隆史とセックスしているということなんだろうと想像した。

「なんか、洗礼みたいなキスだ」

隆史は緒川翠にひたいに、チュッと愛情たっぷりでも爽やかな優しいキスをされて言った。
緒川翠は、聖戦シャングリ・ラの世界の結婚式は、ふたりがおたがいのひたいにキスをするという設定にした。

「このキス、かわいい」

聖戦シャングリ・ラのファンの女子高生の河合望は、騎士団の女騎士の結婚イベントを発生させることに成功して、思わずつぶやいていた。

創作された無数の名の無き幻想のヒロインたち。
過去に創作され、消費されて忘れ去られていくはずの情報が、緒川翠が記憶して自分の心の分身として保護され育まれ、檜垣隆史の愛人たちの情報と融合し、再構成されたあと、さらに選別され、聖戦シャングリ・ラや、彼女の描く他の作品の登場人物として、再び名づけられ姿形を得て、再び市場へ商品として戻されていく。
緒川翠に記憶されることがなければ消滅していたのかといえば、消滅はしないといえる。もっと単純な情報にまとめられヒロインではなく名も無き女性という情報に解体され、パーツにされて散らばっていく。
バラバラにされた人形より無残な情報の破片。なぜそうなるのかといえば、人は世界を認識する時に、全体を認識するわけではなく部分から想像することでとらえようとするからだ。
名前という記号。性別の記号。職業の記号。身長と体重という記号。バストサイズという記号。服装や装飾品のファッションという記号。髪の毛色という記号。髪型という記号。肌の色という記号。口調という記号……不完全なヒロインは、さまざまな記号の集合ともいえる。
ギリシャ神話を題材にしたルネッサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリの絵画「ヴィーナスの誕生」さながらに、ヒロインは再構成されるだろう。

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