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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 838

ぽつぽつぽつと降り始めた雨が、急にどしゃ降りになった。バスを降りた姫川愛結(ひめかわあゆ)は空を見上げ眉をしかめた。

(天気予報じゃ、梅雨入りは来週って言ってたのに……)

このバス停から姫川愛結が暮らしているアパートまで、走れば5分かからない。コンビニでビニール傘を買ってしまおうか迷ったが、濡れて帰ることを選んで踏み出そうとした時、見覚えのある少女の人影に気づいた。
傘で顔は隠れているが、最近お気に入りのエプロンをまとって少女が小走りでかけてくる。

(あのピンクのエプロン、間違いない)

佳乃(かの)は愛結に気づいて、ゆっくりと近づいてきた。傘の下からツインテールの髪が揺れ、将来は美人確定の色白の瓜実顔で、愛結を見上げると微笑む。

「は〜っ、間に合ったぁ、よかった」

佳乃が手に持っていたもう一本の傘を差し出した。

「わざわざ迎えに来てくれたの?」
「うん。愛結ちゃん風邪ひいたらたいへんだもん。早くおうちに帰ろ」
「コンビニに寄らないでいいの?」
「おうちにポテトチップあるもん」

ふたりは並んで傘を差し、手をつないで歩道を歩きはじめる。

(さっきのバスに乗ってなかったら、カノはバス停で待ってるつもりだったのかしら)

「カノ、迎えに来てくれてありがと。でも、女の子がひとりでバス停で立ってたら、ちょっと心配。おうちで待ってるか、コンビニから電話して」
「うん、わかった。でも、ぴったりだったでしょ?」
「そうね。でも、心配だからね」

つぶらな瞳で鼻筋も通っていて佳乃の顔立ちに愛結はつい見惚れてしまう。かわいすぎる。

佳乃を初めて見た時、座敷わらしかと愛結は思った。
愛結の祖父の三周忌に、両親が仕事の都合で田舎に行けないので、代わりに愛結が田舎の祖父の家に行った。
祖父と祖母が他界して、島根県の祖父の古い家には叔父と叔母が暮らしている。こんな小さな女の子がいるとは、愛結は聞いていなかったので、家の客間に、急にかわいい小さな女の子があらわれたので、愛結は驚いて黙って見つめていると少女は無表情でふすまをすっと閉めて、とたとたと立ち去った。
どうやら、祖父の隠し子らしい。
そして、母親は行方不明で、警察が祖父の住所を持っていたので連れてきた。
叔父と叔母は年齢が自分たちの年齢がもっと若ければ引き取ったんだけど、と言って佳乃を引き取る気はないらしい。他の親戚一同も自分の子供で手一杯と佳乃を引き取れない理由を並べたてた。

「だから、あなたのご両親にも法事に来て欲しかったんだけど」

孤児として施設に入れるしかないと話し合いが進んでいく。
愛結が泊まっている客間で佳乃はひとりでおままごとをしたり、昼寝をしてすごしていたらしい。
法事で近所の家にあずけられていて、もどって来たら愛結がその子の客間にいたわけだ。

「ああ、それで愛結が佳乃ちゃんを引き取ってきたのか」

愛結の父親が深いため息をついて言った。もし困ったことがあれば、私たちも協力すると愛結の両親は言った。
佳乃は愛結の養女になった。

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