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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 818

プロメテウスは、試練のあとでなければ気づかないものを盗み出して与えることを忘れていた。この忘れ物に気づくには苦難を受ける必要がある。
プロメテウスはゼウスの隠し子の英雄ヘラクレスに救助されるまで、苦難をたっぷりと与えられた。救助されたときの安堵や喜びを教えて「希望」を人間に与え忘れたと気づかせるために。
ゼウスは、ずっと続いてきた子が親を殺す因果を恐れ、ヘラと結婚する前の最初の妻の思慮の女神メティスを、我が子を妊んだままの状態で丸飲みにしている。その後、ひどい頭痛がするから、プロメテウスに頭を割ってみてくれとゼウスは頼んだ。知恵と思慮の女神メティスが孕んでいた子は、完全武装の美しい女神としてゼウスの頭から出てきた。これが戦の女神アテナである。
知恵と思慮の女神メティスは、ゼウスの頭の中から出てこなかった。ゼウスは知恵や思慮深さを、女神メティスが頭の中に出てくることなく残ったことで得たとされている。
知恵と思慮深さを得たはずのゼウスが、恋に走って浮気しまくるのは、恋する心の火がどれだけ感情を揺さぶり、行動させるのかをよくあらわしているだろう。
親殺しの復讐の因果を女神アテナは終わらせる役割を持っていた。
古代ギリシアの三大悲劇詩人の一人であるアイスキュロスによって書かれた「エウメニデス(慈愛の女神たち)」という著作がある。
姉であるエレクトラの手引きによって、父アガメムノンを殺した敵であると同時に、自らの母でもあるクリュタイムネストラを殺害してオレテレスが母殺しの罪を背負うことになった。
オレステスは、アテナイの地へと行き着いた末に、知恵の女神アテナの助けを借りることによって、この地にあったアレオパゴス(アレスの丘)において、神々の審判を受ける機会を得ることになる。
その場の神々の審判においては、父親の敵討ちであることからその罪は相殺されて許されるべきであるとする意見と、どのような場合においても自然の理に逆らう親殺しの罪は許されないとする意見が互いに同数となり、最終的に、この法廷の主催者であった女神アテナ自身の一票によって、オレステスの罪は許されて無罪放免となる。
彼はその後、自らの故郷であるミュケナイの王として君臨することになる。
復讐の女神であるエリニュースたちもこの評決を受け入れて、オレステスの罪を追求することをやめて彼の罪を許すことに同意することになった。
本来、罪人を地の果てまで追いつめて復讐を果たすことだけを目的とする氷の心を持った女神であるはずのエリニュースたちが、慈しみと憐れみの心を見せることによって、慈愛の女神エウメニデスへとその姿を変えることになった。
天空神ウラヌスのようにペニスを大鎌で斬られて切断されたり、ゼウス自身がウラヌスのペニスを斬り捨て王となった時の神クロノスと壮絶な戦いをして勝利して王になったゼウスの因果は、女神アテナによって終わらせられた。
エリニュース(Erinys)とは、もともと、ギリシア神話のなかでも、ゼウスやアポロンやアテナといったオリュンポスの神々よりもさらに古い起源を持つティターン(タイタン)と呼ばれる巨神族の系譜に位置づけられる古の神々に属する復讐の女神たちのことを指す名である。
ギリシア神話のなかでは、親殺しや偽証といった自然の法を犯した罪を厳しく追及して、そうした罪を犯した罪人を地の果てまで追いつめて苦しめる復讐神として位置づけられている。誰かに危害を加えられたり、戦争を仕掛けられるかもしれないという猜疑心は復讐の女神を生み出した。
エリニュースは、必ずしも固有の名を持った特定の女神たちのことを意味する名前として用いられているわけではなく、この名前は、そうした復讐神としての役割を果たす古の女神たちのことを指す総称として用いられている。
オレステスを神々の審判で、親殺しの罪人とすれば、ゼウスの子の神々は、神殺しの雷を使うゼウスと戦争をしなければならなくなる。天上界の神々がゼウスによって滅び去る可能性もある、
女神アテナは戦の女神ではあるが、思慮の女神メティスの娘である。神々の戦の繰り返し、猜疑心と復讐の因果をひとつ終わらせることを選択した。
復讐の女神から、慈愛の女神エウメニデスにこの女神アテナの選択によって生まれ変わることになったのである。

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