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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 810

精神科医たちによって鬱やヒステリーを悪魔憑きと呼んだキリスト教の信者たちは、神父に懺悔や悪魔祓いを依頼することから、精神科で治療することを選ぶようになった。
珈琲を飲んでテーブルに飲み終えたマグカップが目の前にある時、マグカップがあると言うが、マグカップの存在を信じるとは言わない。
キリスト教では、神の実在すると単純に言わない。神の存在を信じると言い、祈り続ける信仰心と行動こそ大切と考えている。同時に神に対抗する悪魔というものが信仰を捨てさせたり、堕落させようと心を誘惑すること誤った行動をさせて災いをもたらすと信じた。
神と悪魔の対立という物語を、キリスト教を信仰する者たちは受け入れた。それは群れの中で、必要な存在と不必要な存在を選別するという習性を持つ人間にとってひとつの基準になるからである。
ただし、神の前ですべての罪を認めて悔いる者は許すという救済処置がある。それは災いをもたらす者を選別して排斥したことに対する自責の念を緩和する。
フロイトとユングは、このキリスト教の信者たちの患者たちの治療の方法を考えていた。そこは共通だったが、フロイトは個人的なリビドーとそこに潜む死への欲求がうまく処理されないことが鬱やヒステリーの原因と考えた。ユングは、無意識と意識できている部分のバランスが崩れることが原因と考えた。
信者心が足りないから苦しむという思い込みに陥ったキリスト教の信者にとってフロイトやユングの理論という新しい神話を初めは警戒していた。特にフロイトがリビドーの理論を発表した時には、禁欲を生活の習慣として取り入れていた歴史があったので、毛嫌いされた。
ユングは神話を例に上げて人間には共通の母性愛があると説明すると、聖母信仰がある人たちは納得した。また身体的な性別の特徴とは別に女性には男性らしさがあり、男性にも女性らしさが心にはあると説明されると、同性愛は悪魔の誘惑だと懺悔しても悔い改めなさいと言われていたり、悪魔祓いの対処をされたり、魔女の証拠だと差別されて処刑されたりした歴史があったことから、そこに救済処置を見つけだすことになった。
宗教は信者を多く獲得して人を動かすようになると権力を得る。権力はどれだけの人間の心と行動を統制しているかという意味と等しい。
ローマ人がギリシャ神話やローマ神話を放棄して、キリスト教を国教としたことや、キリスト教を広めたのはこうした政治的な合理化の選択があった。キリスト教の信者が多くなっていたからである。キリスト教のキリストの最後の犠牲によって、それからは人は神によってすべて許されるという救済処置の考えは、多くの人を魅了した。
ギリシャ神話やローマ神話では、結婚の女神であり、神々の女王ヘラがゼウスと関係を持った相手に、罰として呪いをかける。ゼウスが全知全能ということになっているので、ゼウスは説教されてヘラに謝罪して、呪われた愛人たちに同情するとこっそりいろいろな援助をする。だが、全て許されるという救済処置ではなかった。

「自己犠牲、みんなのために自分を犠牲にするのはいいことって考えがキリストの犠牲の物語にはあった。ギリシャ神話やローマ神話にはそれがない。でも、それがフロイトやユングの時代には、戦争する理由につながっていったんだ」
「なんで人が殺し合うのか、自分が犠牲になって戦うことで他の多くの人を助けられる、自分の国の人たちを飢餓から救えるとか、敵から身近な人たちが殺されないように守れるって考えたのね」

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