矢野史乃は、どこかさみしげな雰囲気のある総一郎に惚れてしまった。総一郎が妹の可織のことを、本当はまだ忘れられずに愛していると告白されても許した。その後、史乃は発症し、総一郎に発症する前にＡＩＤＳ検査を受けるように忠告して自殺した。
総一郎は妹の可織には史乃はＡＩＤＳの合併症を発症したから絶望して自殺したと話した。史乃が自殺したのは総一郎と生きていく未来が病で奪われたと絶望したからだった。
木梨軽皇子と軽大娘皇女は、刃物で刺し合う凄絶な兄妹心中をして命尽きた。
エロマンガの兄妹は肉体関係を持って翌朝、兄にそっとキスをするシーンで終わる。
緒川翠と平泉可織が会った日、平泉総一郎は自殺するつもりで、樹海の中をふらふらと歩いていた。
平泉総一郎は「マサルさん」の遺体を見つけることになる。そこで、死の恐怖に襲われる。イザナギが黄泉でイザナミの腐敗した姿を見た時に襲われたのと同じように、死が静物として目の前にあるような感覚に襲われた。
知恵の神オモイカネの妹神への失恋とニニギノミコトの降臨の逸話も、運命の選択のひとつとして影響力がある。
平泉可織にエロマンガ家メイプルシロップこと緒川翠と恋をしてレズビアンとなるのか、兄ではない男性と恋愛をして子を産み育む母親となるのか、どちらにせよ、矢野史乃の死という犠牲によって、可織に生き残る運命の選択を与えた。
沖縄県庁のインターネットホームページには、こんな情報がある。

沖縄県は、全国的に見てもＨＩＶ感染者／エイズ患者の報告数が多い地域となっています。
沖縄県の特徴
・沖縄県のＨＩＶ感染者・エイズ患者新規報告者数は、過去５年間でみると、
２０１７年３１件、２０１８年２０件、２０１９年１７件、２０２０年２３件、２０２１年２６件となっており、依然として感染が拡がっている状況です。

・診断時に既にエイズを発症している事例（いきなりエイズ）の割合は全国平均が、２０２１年では２９.８％となっています。
本県では２０１１年以降、２０１６年及び２０１７年を除き全国平均を上回り、２０２１年では３８.５％と全国平均約３０％を大幅に上回り、早期発見のための検査機会を逸していると推測されます。
・２０２１年の人口１０万人あたりの新規報告数でみると、ＨＩＶ感染者は全国２位、エイズ患者は全国１位です。
・ＨＩＶ感染者の年代別では４０代で５０％、ＡＩＤＳ患者は３０〜４０代で７０％を占めています。

現在、月虹学園に通う女子高生、島袋琉（しまぶくろれん）が沖縄から離れてフランスから、日本へ帰国して、故郷の沖縄にはいない間に、ＨＩＶ感染の拡大やＡＩＤＳの合併症の発症が起きていた。
島袋琉がＨＩＶウイルス感染から上手く逃れているのか、護りの力が弱まっているのか、それとも、その両方なのかははっきりしないが、アメリカの軍施設があり、無症状キャリアの兵士が日本人風俗嬢と関係を持ったあと、風俗嬢が日本人の客とセックスしたという感染経路がある。無症状の潜伏期間が長期なために、早期発見されない場合、影響は何年も遅れて判明する。
沖縄の巫女の血統と、檜垣家の当主になりそびれた子の血統を受け継いでいる島袋琉は、隆史と同じ毒物への強い耐性を持っている。そして、護りの力の影響力を持っている。
定食屋の夫婦も護りの力を持っているのと同じだが、定食屋の夫婦が受け継いでいる土地で、主人の素朴でおいしい料理や若妻パティシエのスイーツで訪れたお客に生きる気力を与えて励ますのとはちがい、島袋琉は放浪してきた。
フランスを放浪して、儀式用の信者を洗脳するドラッグ〈天使の涙〉を開発したアルベール・レノという化学者の恋人となりパリに在住したことがある。
アルベール・レノが突如、謎の失踪したので、島袋琉は、アルベール・レノを探し出すために日本へ帰国した。