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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 786

聖戦シャングリ・ラの世界では、蛇神ナーガが、伴侶と決めた愛と豊穣の女神ラーナの喪失の悲しみを抱え続け、諦めることなく執拗に世界へ影響を与えて、女神の化身の花嫁を求め続けていた。僧侶リーナの心や命は、ダンジョンハンターのレナードが結婚して奪われたが、また別の女神ラーナが創世した世界で、転生する女神ラーナの化身の女性を求め続けるだろう。
イザナギはイザナミと生みだしたアマテラス、ツクヨミ、スサノオの三貴子や八百万の神たちのいる世界を父なる大神として、伴侶のイザナミを喪失することで愛することを教えられた。
蛇神ナーガは、ありのままの世界を愛することができるだろうか。追放されたヒルコ、神になりきれなかったものは、世界を愛することができるのだろうか。
檜垣隆史の父親、先代檜垣家当主の檜垣雅樹は、心の伴侶の谷崎龍之介の喪失の悲しみを抱えて、息子の隆史のために湯治場に秘薬の知識を残した。プレゼントのように巫女の谷崎麗と〈神眼〉の秘技を残した。幼い隆史と一緒にお好み焼きを食べて思い出を残した。檜垣隆史は雅樹の父親としての愛情を湯治場の旅で感じ、お好み焼きを食べたときや、また谷崎麗の顔を見るたびに、雅樹がすでに亡くなっていても、今もなお感じるのだった。

「それなら貴哉くん、亮さんと出会う前の山本くんの話を聞かせてあげたらどうかしら?」

3人に自宅の部屋で相談を受けて、詠美の若い叔母にあたる女教師の坂本明美は貴哉に言った。
原田亮の知らない貴哉の心に残る山本直樹の思い出を聞いて、原田亮は山本直樹の死を悼む者が、直樹の両親や原田亮だけではなく、貴哉もまたそうなのだと気づくことができれば、絶望や悲しみからまわりが見えてくるようになるかもしれないと、明美の提案を聞いていた詠美も思った。
原田亮は貴哉や娘の珠理や詠美から、山本直樹の亮と出会う前の話を聞いて、ぽろぽろと涙をこぼした。
病室で亮は山本直樹から、貴哉や珠理や詠美の話を聞いていた。その時の絶望を越えたあとの透き通るような微笑まで、亮は胸によみがえるのを感じた。
原田亮がいつでも直樹を思い出せるように、自分が死んだあと亮が自殺しないように見守ってほしいと貴哉に頼んだのだと感じた。
短い期間だったが山本直樹が、心から亮のことを、自分が思っていた以上に愛してくれていたのだと感じて、涙が止まらなかった。珠理が亮の背中を優しく撫でていた。
イザナギは、イザナミを愛しく見つめた自分の両眼から生まれた美しいアマテラスやツクヨミの姿をみて、イザナミの思い出が、胸のなかに何度もよみがえるのを感じたにちがいない。
原田亮はもう喪失の悲しみから、自暴自棄になることはない。目を閉じれば、愛した山本直樹の微笑や声を、いつでも思い出すことができる。
珠理の父親の悲しみ、凶事へと人をいざなう穢れ=気枯れを疱瘡神の隠(おぬ)の子供たちはこうして祓ったのである。
ふくよかな母性的な胸のレズビアンの女教師、坂本明美はさしずめ、日本神話なら天岩戸の前で踊った天宇受売命(アメノウズメ)のようなものだろうか。

「先生、ありがとう。今夜はパパといろいろ話をするから、帰りませんけど心配しないで下さいね」

珠理から電話がかかってきて、坂本明美も涙ぐんでいた。珠理が母親に対してどんな思いを抱えているか、原田亮に今ならきっと伝わると思えたからである。

檜垣隆史が、水野咲のもともと職場での人間関係で傷ついて疲れていたタイミングで、不審者からレイプされてさらに深まった人間不信をつき添い癒した。遊園地ではいじめにあっていた人妻「吉野さん」の話を聞き出し、励まして人と向き合う勇気を持つきっかけを与えた。
これも祓いの小さな力である。
帰り道に隆史たちが食事のために立ち寄った街では、こうした出来事が起きていた。穢れと祓いの力が、人の心に影響を与える。心のありかたが、世界の運命を変えていくのは神話の世界も、エロマンガ家のメイプルシロップこと緒川翠が想像した聖戦シャングリ・ラの世界も、隆史たちが暮らす世界でも同じである。

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