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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 784

癌はある程度進むと痛みが発生し、末期には約7割の患者が主なる症状として痛みを体験する。その約8割は激痛であるといわれる。
また、癌自体が臓器などに浸潤したことによる直接な痛みのほか、摘出手術、放射線治療、化学療法などの治療に伴う痛みや入院生活中に起きる筋肉痛や褥瘡なども広い意味で癌の痛みといえる。
山本直樹は、医師に癌を宣告されてから約半年ほどで亡くなった。正確には178日である。
イザナギがイザナミを亡くしたあとの伴侶と死に別れた悲しみは、若い恋人の山本直樹を頻繁に見舞い続けていた原田亮にも繰り返された。
近親相姦で、女子高生の娘の珠理の性癖を強引にレズビアンから変えようとしたり、かつて少年だった榊原貴哉に心を奪われたのが忘れられずに、娘の彼氏となった貴哉をドラッグを使い酩酊させて、拘束レイプしようとしたりと、荒ぶる所業を実行した原田亮だったが、山本直樹という若い恋人ができてからは、そうした荒ぶる所業をしたのはよく似た容姿の別人だったのではなかったかと思えるほど、貴哉たちからすれば落ち着いた大人の雰囲気の紳士となっていた。

「人は恋によって生まれ変わることもあるのかもね」

詠美にそう言わしめた原田亮の落胆ぶりを見て、思い詰めて自殺でもしかねないと、珠理がとても心配していた。
伴侶との別れ、残される悲しみについて詠美に深く考えさせる出来事でもあり、貴哉にとって身近な親友を亡くす初めての別れであった。また、詠美や貴哉の家族は健在で身近な家族を失う経験はなかったので、原田亮の悲しみにどう接すればいいか戸惑うものであった。
とまどい、戸惑い。天岩戸の中にアマテラスが閉じ籠り、闇に閉ざされた時に、八百万の神たちが困ったことにつながる言葉である。
珠理は死によって愛する人を失う悲しみよりもつらい体験、生きている愛する人が自分を置き去りにして去っていく悲しみを知っている。
手術の日も、治療で直樹が苦しんでいる日も、ほぼ毎日、病院へ原田亮が見舞いに行ってつき添っていた。山本直樹の両親は海外在住で、仕事の都合もあり、直樹が危篤の知らせを受けた時に帰国し、葬儀と埋葬を済ますと、また日本を離れた。
だから、危篤の時は原田亮が病院から最初に連絡を受けた。
原田亮は山本直樹の両親や貴哉たちに連絡したが、直樹の両親は、ひとり息子の直樹の死に立ち会うことができなかった。
山本直樹の両親は海外で暮らし、同性愛者たちが日本よりも受け入れられているのを知っている。
山本直樹は、癌の告知を受けた事と同時に自分は同性愛者だと両親に電話をかけて打ち明けた。

「ありがとうございました」

山本直樹の母親が原田亮に泣きながら病室で言ったのを、貴哉たちは見た。直樹の恋人が原田亮だと直樹の両親は、直樹から打ち明けられて知っていた。
貴哉たちは直樹が同性愛者だと両親に打ち明けていたことや、同級生の3人の親友がいることも母親に話していたことをこの時に直樹の両親から聞いて知った。

(直樹くんは大好きなパパと死ぬまでの間、一緒に過ごせた。癌にかかってお別れしなきゃいけなかったのはすごく悲しかったはずだけど、幸せだったのかもしれない)

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