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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 725


とてつもなく理不尽な暴力。
自分の常識では考えられない優しさ。
水野咲の生きてきた世界は、もうすでに変わってしまった。
それが悲しくて、うれしかった。

水野咲が考えたこともないような話を、隆史はたくさん聞かせてくれた。
隆史から、知らなかった世界を教えてもらっている気がした。

「隆史さんには、他にもたくさん彼女さんがいるんですね。でも、わかるような気がします」

我慢してわがままを言わずに「いい子」でいれば、それなりに幸せになれると、どこかで信じきっていた。
「いい子」かどうか、ずっと誰かと比べられてきた気がする。
いつだって、選別されている。きれいとか、かわいいとか。見た目や言動で男性だけではなく、女性からも選別される。
夜中に一人で、好きな音楽を聞きながら歩くのを、水野咲は好きだった。
夜中に店員以外は、他に客のいないコンビニエンスストアーも好きだった。
店員には普通の「いい子」と思われたいと思うけれど、昼間みたいに、たくさんの人たちの目を意識しないでいられる気がして……。

痴漢に襲われて脅された時、痴漢に乱暴されるために、今までがんばってきたわけじゃないと水野咲は思った。

「そう言われると、俺も男性で、女性なら誰でもいいってわけじゃなくて、やっぱり比べて選んでるから、なんとなく、申し訳ない気がしてくるけど」
「隆史さん、それは女性だって男性を選んでますから、気にしなくてもいいと思いますよ」

本当に優しい人だと水野咲が心から思える男性に選ばれたかったし、恋人として選びたかった。
それに背中におんぶされているとき、あんなに痴漢にさわられた時は鳥肌が立って気持ち悪いと思ったのに、嫌じゃなかった。人前で水野咲と手をつないでくれて歩いてくれた隆史の手は、とても安心できた。

(う〜ん、痴漢に襲われたショックで、一時的に気持ちよく感じようになってるなんて、私には、ちょっと思えないんだけどなぁ)
水野咲は、首をかしげて考えていた。

女性が恋人を選ぶときの絶対条件は、それぞれちがうと水野咲は思う。
絶対条件がわかっていなくて、これだけは嫌で許せないってことだけはわかっている女性もかなりいるのを、水野咲は知っている。
まわりから厳しい選別を受けてきた女性ほど、恋人の容姿や社会的な地位や資産にこだわる気もする。自分に不釣り合いにならないか気にする女性もいる。

「隆史さんは、どうして私を彼女にしたいと思ったんですか?」
「ん? なんか、ほっとけない感じがして」
「それは、私が痴漢に襲われて、同情してるだけってことはありませんか?」
「あと、なんか、いい匂いがする」
「匂いですか?」

水野咲が痴漢に襲われてお漏らしをしてしまい、隆史がおんぶした時に、隆史の着ていたシャツも汚れた。
隆史のシャツは水野咲に洗濯されて、ベランダに干されており、ひらひらと揺れている。

(ええっ、私のおしっこのにおいが、隆史さんの好みってことですかっ?!)

「俺、薬を作るために味覚や嗅覚も、ちょっと人とはちがうんだよね。いい匂いがするんだ。なんかちょっと気分が落ちつくっていうか、うまくこの匂いって、例えられないんだけど」
「えっと、それは、私の……いえ、なんでもないです」

隆史の回復ポーションを飲ませてもらったので、驚異的な効果を水野咲は実感している。
そんな薬を作る隆史から、毒への耐性があったり、普通の人にはわからない匂いや味がわかると聞かされても、そういうものなのね、としか感じなかった。

「ほっとけないっていうのは、気が優しくて、他人をひどく恨んだりもしないけど、この分だけ、他人に流されやすい感じもして。同情とかじゃないよ」
「ふふっ、あの、私、隆史さんほど、優しくないですよ。たしかに、あまり他の人に、自分の意見を強く主張するのは、得意じゃありませんね」


隆史は水野咲だけでなく、人あたりは良いが、他人に流されやすくて危なっかしいタイプなので、気になる愛人がいる。
椎名瑶子がそのタイプである。
出会った当時は女子大生の瑶子と、公園のベンチであれこれと話をして過ごす時間は、隆史にとってかなり楽しい時間だった。

水野咲は、他人と時間をかけて、これほどたくさん話をしたいと思ったことがなかった。
今まで他人に話したことがない、心の中にとどめていたことを、隆史とあれこれと話すのは、とても楽しかった。

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