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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 724

「あのさ、俺が帰ったら、一人で部屋にいるのも、まだこわい?」
「こわいです」
「俺のことはこわくないの?」
「はい。とても安心できます」
「やれやれ」
隆史が水野咲の微笑を見つめて、ため息をついた。
(こうなると、さすがに俺でも、この子にちょっと手が出しにくいな)

水野咲も、昨夜見知らぬ男性からレイプされかかったのに、恩人の隆史のことがとても好きになってしまって、いちゃいちゃしたり、セックスしてほしいとも言い出せずに困惑していた。
(どうしよう、隆史さんに甘えたいなんて言ったら、絶対、私のこと変な人だと思われちゃうよ〜)

この我慢くらべのような状況で、先に降参したのは、水野咲ではなく、檜垣隆史だった。

「今から最低なことをお願いする。世の中の男性は、みんなそうだと思わないでほしい」
「はい」
「俺の彼女になって下さい」
「はい」
「やっぱり無理だよな……って昨日の夜中に会ったばっかりの、10歳ぐらい歳上で、まだ名前しか知らない奴に、いきなり告白されて、おつきあいOKって、もしかして、恩返しとかのつもりなら、そういうのは考えないで、よく考えて返事してほしい」
「……私、隆史さんの彼女になります」

水野咲が、じっと隆史の顔を見つめて返事をした。

「もしかして、隆史さん、私のことをからかったんたんですか?」
「そうじゃない」

隆史が心配になったのは、水野咲がレイプされかけたショックで、自己肯定感が低くなっている可能性だった。

レイプされた女性が、その後セックス依存になるということもある。
極端に男性を避けるようになったり、体にさわられると怯えてしまうこともあるが、逆にレイプされたことが特別なことに思わないで済むようにセックスしてしまったり、セックスを求められたら、自分を必要にされていると感じて相手の言いなりになってしまったりする。

自己肯定感が低いと、他人に気をつかって無理して尽くしてしまったりする。
他人がこわいので愛想笑いなどをして、まったくその気がない相手が誤解して近づいてきたりもする。
惚れている相手に嫌と感じる言動をされても我慢してしまい、ためこんでしまって、あとから怒りが収まらなくなってしまったりもする。

たしかに、水野咲は今までずっと「いい子」でいたいと思ってきた。
(ああ……そうだったんだ。だから、昨日の夜はあんなに胸が苦しくて痛かったんだ。涙が止まらなかったんだ)

痴漢にレイプされそうになって、脅された時に、それまでこわかったから親や他人の望む「いい子」でいたけど、目の前の痴漢の言いなりにだけは、絶対になりたくないと水野咲は思った。

助けてと叫びたかった。でも「いい子」の自分は恥ずかしくて、助けを呼べなかった。こわかったからだけじゃない。
痴漢にブラジャーをめくられて、乳房を揉まれているのを見られたり、誰にも知られたくなかった。

隆史は、当たり前のことをするように、痴漢を追い払ってくれた。
衣服の乱れも直してくれた。痴漢が脅すために、撮影していたスマートフォンを奪ってくれた。
水野咲がわがままなのはわかっていたけど望んだように、救急車を呼ばないでいてくれた。氷を買ってきて、氷枕を作って応急処置をしてくれた。
部屋まで背負って運んでくれた。
水野咲が「いい子」かどうかなんて関係なく、心配しながら、一晩中、そばにいてくれた。

普通で目立たない「いい子」でいれば、それで嫌なこととは関わらないで、傷つかないで生きていけるはずと信じていたのに、それができなくなったこと。

「いい子」じゃない水野咲に、自分のできることを、一生懸命してくれる人の優しさがうれしかった。

悲しかっただけじゃなく、うれしくて涙があふれて止まらなかったんだと、水野咲はわかった。

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