PiPi's World 投稿小説

媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

の最初へ
 721
 723
の最後へ

媚薬の罠 723


「全員が絶対にそうだとは言えないんだけど、脳の構造から、傾向のちがいはあると思うんだ」

失恋したときに男性は食欲が低下することがある。失恋によって性本能の情動が鈍る。すると近くの食本能も低下してしまう。
逆に、女性がしばしば失恋のストレスを食べることで解消する場合がある。

「摂食中枢がそばにあるのか、満腹中枢がそばにあるのかのちがいはあるんじゃない?」
隆史に言われて、水野咲は納得してしまった。そして、少しどきどきしてしまってうつむいた。

痴漢から助けてくれた。おぶって部屋に運んでくれた。泣いている間ずっとそばにいてくれた。そんな隆史を、水野咲は好きになってしまっている。
(おなかも空いてなくて、リラックスした安心している時に、セックスに意識が向く傾向があるって、今、ちょうどそんな感じかも)

「隆史さん、もしかして、恋愛とかも脳から説明できたり……します?」

脳の右側にある腹側被蓋野と尾状核。
ここが使われることが、恋愛感情にかなり関係していることが判明している。

「脳はざっくりと役割から3つの場所に分けて考えることができる」

脳幹と大脳基底核。
食欲、呼吸、意識などをつかさどる本能に関係する最も原始的な部分。

大脳辺縁系。
喜び、悲しみ、恐怖、怒りなどの情動をつかさどる部分。

大脳新皮質。
言語理解、経験などの学習、などに関係する部分。

腹側被蓋野と尾状核は、脳幹(中脳)と大脳基底核、つまり原始的な脳の部分となっている。
「恋愛感情は本能的なものなんだ」

脳幹(中脳)と大脳基底核はドーパミン報酬系に関わる部分。
ドーパミン報酬系とは,本能的な欲求を満たすと、ドーパミンの産生がうながして快感を与える神経系である。

「報酬系ホルモンが出ると、心地よい幸せな気分になる。それは同時に報酬系ホルモンによって大脳辺縁系や大脳新皮質にも影響があるからなんだ」

報酬系ホルモンによって、一部の脳で活動が抑えられる。抑制される部位は、前頭葉、頭頂葉、側頭葉中部と扁桃体。
前頭葉,頭頂葉,側頭葉は大脳新皮である。とくに前頭葉が抑制されると、判断基準があいまいになったり、判断自体をやめたりする。

「扁桃体は、大脳辺縁系、つまり情動を制御する部分なんだ。扁桃体の働きで、他の部分と連携して好き嫌いや悲しさや恐れを感じたりする。でも、報酬系ホルモン、ドーパミンとかが与えられて扁桃体が抑制されると、負の感情をやわらげてくれる」
「なるほど、隆史さん、好きな人といると安心するのは、扁桃体というところが抑制されているからなんですね」
「うん。でもノルアドレナリンという神経伝達物質がたくさん出ている時は、恐怖を感じるんだけど。セロトニンもふくめた報酬系ホルモンを脳と体が欲しがっている、というのが恋をしている状態なんだと説明はできる」

隆史は扁桃体と大脳皮質の連携の話を、水野咲に話した。

「人間がまだ狩猟とかしていた頃を想像してみて。ヘビがいる、危ないってすごくびっくりしたあとで、よく見たら折れた木の枝だったと気づいてほっとするっていうことがあったとする」

地面に落ちている長くて曲がった長い物が目に入ったときに
「なんだ?! もしかして噛みつくヘビかも?」
と危険を察知して、びくっと警戒して反射的に体が動くのは扁桃体の働き。
でも、その物をよく見て
「なんだ木の枝か」
と処理するのが大脳皮質。
大脳皮質は、ゆっくりと詳細に物事を観察し、合理的に思考する。

「扁桃体と大脳皮質をこうやって、連携させ続けながら、人間は生存してきた。これを、恋愛であてはめてみると……」

「この人が気になる! 好きかも」とまず扁桃体が反応する。
大脳皮質が、それから、その理由を観察したり、考察して恋が進む。
これが一目惚れ。

逆に時間をかけて、友達から恋人になる恋愛の時は、まず大脳皮質で、相手を観察している。
大脳皮質が集めた情報に、あるとき突然「すごく良い! 好きかも」と扁桃体が反応して恋に落ちる。

「……っていう感じなんだろう。でも、何に脳幹と大脳基底核が報酬系ホルモンが出たして、扁桃体にどんな情報が反応するかは、ちょっと複雑で、みんなそれぞれちがうから、パターン化して考えられる範囲だけで、ざっくりとしか説明できないけど」

「すごく嫌いとか、こわいって警戒するのも、すごく好きって反応するのも、扁桃体というところの働きなんですね。不思議です」
水野咲は、わからない言葉をスマートフォンでネット検索しながら、夢中になって隆史から、脳の話を聞いていた。

SNSでこの小説を紹介

レイプの他のリレー小説

こちらから小説を探す