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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 638

隆史が美和の頭を撫でた。
(すっかり騙された。大人のふりをできるって、ただの幼児退行じゃないわね)
倉持志織は微笑はそのままで、目を細めて美和を見つめた。
倉持志織は宗教学の知識もあるので、まだ精神分析が世に認められる以前は、解離性同一性障害の患者をいわゆる悪魔祓いの儀式を通して、その交代人格を統合させようと多くの宗教で試みてきたのをよく知っている。
(隆史様は小悪魔ちゃんをどうするつもりかしら?)
自分がこわい目にあったり、虐待されないように自意識の身代わりを作って隠れた子供のままの美和は、大人の知識はしっかり持っている。
倉持志織は、隆史が手に負えないと言ったら〈天使の涙〉を無理やり飲ませて、悪魔祓いをしてやるつもりなのである。
騙されたのは、倉持志織としてはちょっとおもしろくない。
ちらっと隆史は倉持志織の顔をみて、少し怒っているのに気づいていた。「どいて」と言われたからではなく、大人のふりをして騙されたからだと察している。
解離性同一性障害には、主人格と交代人格が存在する。主人格と交代人格が入れ替わっている間、記憶が共有されずに抜け落ちている人もいるし、記憶が共有していて、行動している間に、それぞれの人格が別々の感情や思考をしているということもある。
体を自動車のような乗り物にたとえるなら、子供の美和が主人格として運転中という感じなのだろう。
倉持志織は少し警戒している。
破壊人格、他の人格を守るために暴力を行使する代理人格が存在する可能性もあるからであった。
「美和、俺はお兄ちゃんじゃなくて、檜垣隆史って名前がある」
「知ってる。テレビで見てたもん」
隆史がおもしろそうなので聞いてみると、どうやら部屋に「魔法のテレビ」があって、代理人格は主人格が見たものや聞いたことをテレビを見ることで知ることができるらしい。
「大人の美和が、外側のテレビを見てるときは、テレビ番組を中のテレビでも、ちびっこも見てるんだな。見たいチャンネルで、二人で喧嘩にならないのか?」
「お外のテレビはたっくんのだもん」
「たっくん……ああ、達也のことか」
「うん。おとうとのたっくん」
どうやら、達也は子供の美和には「おとうと」の認識らしい。
「そっかぁ、じゃあ、ちびっこじゃなくて、お姉ちゃんで呼ばないとな」
隆史がそう言うと
「え〜、はずかしいよ」
と美和がもじもじとして、顔を赤らめていた。
弟か妹か欲しかったらしい。
高坂貞人にレイプされても、結婚して子供を堕さず出産したのは、子供の美和の意思がかなり優先されていたようだ。
「カズキ嫌い、大人の美和をいじめるんだもん!」
隆史がカズキについて、子供の美和に聞いてみるとそう言った。
子供の美和からすると、貞人やカズキは「ニセモノのお兄ちゃん」らしい。
「このあいだ、お姉ちゃん、たっくんをぶった?」
「だって、たっくん、図書館いきたいって、図書館いったらニセモノのお兄ちゃんいるもん、美和悪くないもん」
隆史は美和の頭を撫でた。
「そうだったのか、お姉ちゃんはたっくんを守りたかったんたんだね」
「うん」

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