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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 582



清水真奈美に、尾行していた本条恵美が軽く手を上げて知らせる。
ヒマラヤンを抱いた女性が、訪れたスーツ姿の男性を出迎え、男性が女性の頬にキスした瞬間を、清水真奈美の望遠レンズをつけたカメラがとらえた。
「夫の靴下に、何かの毛がついていたんです。それだけでは調べようがありません、と他の探偵事務所では断られてしまいました」
依頼人の女性が見た夫の靴下についた謎の毛。
それは長毛種のネコ、ヒマラヤンの飼い猫の毛だったのである。
結婚前からのつき合いを含めると10年のつき合いになり、五歳になる息子もいるので離婚する気はないと依頼人は本条恵美に語った。
「結局、何のために調べたんだろう?」
谷崎麗が、清水真奈美と本条恵美にそう言った。
浮気調査の依頼は、探偵業界ではおよそ7割の依頼数を占めている。
2ヶ月前に依頼人が来た時には、かなり深刻な悩みを抱えていて食事も喉を通らなかったし、眠れない日々が続いているとのことだった。
実際に調査して証拠を探偵事務所で見た依頼人は、やっぱりそうだったと納得したようで、初めに依頼に来た時よりも、どこかすっきりした表情であった。
「気持ちの区切りをつけるために、依頼して来る人もいるのよ」
本条恵美は谷崎麗にそう言った。
依頼を受けて2ヶ月後、会社の飲み会があるから帰りは朝帰りになるかもしれないと夫が言ったと、依頼人の妻から連絡があり、出社から飲み会、そして、深夜に夫がネコを飼っている愛人宅に向かうまで、三人で尾行した。
「本条さんは、今まで全部ひとりでやってたんですよね?」
清水真奈美が言うと、本条恵美が当然のことのように答えた。
「ええ、そうですよ」
離婚はしない、五歳の子供はパパが好きだし、自分も悲しいと思うけれど、まだ夫を愛していると依頼人は言った。浮気相手の女性に対して慰謝料の請求をするというので、本条恵美が弁護士に渡す資料を作成中である。
ネコの毛が靴下についていた。
夫があまり興味のない若い女性アイドルユニットのメンバーのアイドルの名前をテレビを見ていた夫が、すらすらと子供に教えた。
それだけで妻は浮気していると直感的に察して、不安になった。
夫も用心して駅のコインロッカーに着替えを入れていて、愛人宅に行くときは服を着替えていた。髪型も少しいじっていた。妻に疑われているようだと気づいていて、なぜ愛人宅に行ったのだろう。
変装しても通勤用の革靴が同じだったので、本条恵美が見失うことがなかった。愛人宅で朝方4時まで過ごし、愛人宅で予備のスーツに着替え、始発で浮気した夫は帰宅した。
靴下まで着替えていたら気のせいと思って依頼人が事務所に来ることはなかっただろう。ネコの毛がつかないように、愛人が帰宅時はスーツに浮気夫の肩のあたりを粘着カーペットクリーナーをかけている姿も、清水真奈美によって撮影されていた。
こうして「靴下にネコの毛」の浮気調査は探偵事務所の女性三人が徹夜することで調査が完了した。
依頼人に調査結果を報告も終わり、疲れがピークに達したころに檜垣隆史から事務所に行くと電話があった。
「あたしはもう寝る。隆史さんを待ってても来るのは、夕方か夜かもわからないから」
「お疲れ様。隆史さんが来たら電話をかけますね」
谷崎麗が、事務所から私室に戻って行った。本条恵美と谷崎麗は探偵事務所のあるビルの別の階に私室があり、住み込んで働いている。

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