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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 572

遥はちょっと悲しくなって、窓の外を見た。昼間、隆史とデートした水族館とテーマバークの明かりがぽつんと見える。
「それで砂浜に二人で座って、夕日が沈むのを見ることにしたの?」
「遥に海に夕日が沈むのを近くで見せたかった。あと、俺、あまり海って来ないから、砂浜をちょっと歩きたかった」
「うん。夕日と海、きれいだった。天気が良くてよかったね」
遥はこの時、デート嬢をしたことを悔やんでいた。隆史がデート嬢をしていたのを知っているから、演じている感じと思われたのだと思った。
「遥が駅前で俺に声をかけてくれなかったら、ずっとデートする楽しさを知らなかったかもしれない。ありがとう」
隆史は遥にそう言って、遥のそばに来ると窓の外を見た。
「水族館のまわりに民家とかないから、明かりが星みたいに見えるな」
遥が隆史の横顔を見つめた。
遥も水族館の明かりを見てそう思った。
「隆史さん、今、デート嬢してたことをすごく後悔してる」
遥は自分の思っていることを、隆史にぶつけみた。
「遥、今日は親子連れの人たちがたくさんいたよな」
「うん。いましたね」
「遥は両親にどこか連れて行ってもらった思い出はあるか?」
遥は両親がキャンプ場に連れて行ってくれたことを話した。
「俺は母親が壊れた人だったから、父親と小学生の頃に二人でお好み焼き屋に行った思い出しかない。なんか、子供の時にはしゃげなかった分の楽しさを大人になってからもらってる気がした」
遥は隆史の母親が心が壊れてしまった人だったことを聞いて胸が苦しくなった。
(隆史さんは、親子連れの人たちを見てうらやましかったんだ。それで今まで、デートらしい場所につきあった人と来なかったのね)
「遥がデート嬢をしてなかったら、人まちがいで俺に声をかけてくれることはなかったと思う。デートして俺と遊んでもらうこともなかったはず。それにもう、遥は俺と約束したから、デート嬢じゃないじゃないか。親子連れの親が子供に思い出をあげたくて連れて歩いてるみたいに、俺も遥にデートの思い出をあげたくなった。でも、俺のほうが遥に思い出をもらった気がしてるんだ」
檜垣家がどうやって後継者を女性たちに産ませようとしてきたかを隆史は遥に話して聞かせた。
「俺が最後の後継者になったとしても、俺を好きになってくれた女性を、俺のせいで壊したりはしたくない。遥にもしも俺の子供ができたら、水族館で親子連れをしてくれないか?」
遥はそれを聞いて、涙が出てきて止まらくなった。
「泣くような話は俺はしなかったんだけどな。でも、檜垣家の子作り話はこわかったよな。ごめんな」
隆史は椅子に座ってぽろぽろ涙をこぼしている遥にそう言って頭を撫でた。
「……ちがうの。子供ができたら、私はママで、隆史さんはパパで手をつないで歩いてくれますか?」
「うん。でも遥、生まれる子供は一人じゃなくて、双子だったりするかもしれないぞ」
隆史は湯治場で谷崎綾子に檜垣家で双子が生まれてかたわれを養子に出したという話はないかと確認していた。
すると、双子の女の子のほうを母親が一緒に連れて帰ったこともあった話はあると、綾子は隆史に教えてくれた。
遥はやっと隆史が俳優と言った意味がわかった。
恋愛関係になればパートナーとなる。
子供が生まれたら、親になる。
コスプレではないけれど、その役割になりきってしまう必要がある。
頭を撫でてくれている隆史は、遥の恋人として、何ができるか考えてくれていると遥は思ってうれしくて泣いている。
隆史は遥にキスをした。
「ん……んんぅ……ん……は……ちゅっ……」
隆史がキスで遥が泣き止んだと安心した顔をした。
「隆史さん、キスしたらなんでも言うことを聞くと思わないで下さいね」
遥は隆史にそう言ってみたけれど、すねても、怒っても、隆史にキスされたらきっとしょうがないと、許してしまう気がした。

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