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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 548

メジャーな作品を受注するアニメ製作会社では、高いクオリティーを求められてはいるため人手がかかる。そこで予算の都合で、さらに人件費の安い海外のアニメーションスタジオに発注してしまうのが通例となっている。安定の品質ではあるが、それ以上のものはなかなか作れない。
それが嫌なアニメ好きなスタッフが集まったアニメ製作会社が、製作する本数をぎりぎりにしぼり、倒産覚悟で製作に取り組んだ。
製作スタッフは過酷な労働を強いられたが、悲惨すぎると見かねた隆史が資金提供した結果、大手スタジオのアニメーターたちが途中から参加して手直しかけた。その結果、近年まれにみる仕上がりのエロアニメとなった。劇場公開されている一般のアニメよりもプロ好みの仕上がりであった。
声優をアイドルとして仕立て上げ芸能活動させる方針が、10年ほど大手プロダクションでは流行っていた。
それは、それまでメジャーだったアイドルグループメンバーや俳優などのスキャンダルによって人気が低迷したことで、穴埋めしなければならないと声優に目をつけたからであった。
ベテラン声優や音響スタッフから厳しく指導されるとラジオ番組のDJやコンサートなどでテンションが下がるからと、指導NGの事務所が増えた。現場で新人声優たちはかなり過保護にされた。
結果、大手のプロダクションの声優はクオリティが下がってしまっていた。
隆史の〈神眼〉によって完全に登場人物になりきって体験した小野田美樹の声のリアルさには、他のアニメで仕事している大手プロダクションの甘やかされた新人声優たちではかなうはずがない。
シズノプロダクションは小野田美樹にトレーニングを受けさせていたので、本人はわかっていなかったが基礎がすでにできている。
そして、他人から言われたことを信じやすい性格。小野田美樹はベテラン声優から素直ないい子と感心されて小技をどんどん教えられた。
所属事務所「キング」の方針が本格的な声優育成を目指していたので「現場の指導は大歓迎です」なのだった。新人の小野田美樹ががんがん指導される。ついでに、他の事務所の声優たちまで、とばっちりで怒られた結果、現場では鬼コーチとあだ名がついた音響の鈴木達夫が納得の仕上がりとなった。
監督の真鍋敦彦だけは、本当に困りきった顔になっていた。次の監督作品が「痴漢に恋して」と比べられて駄作と叩かれる悪い予感しかしない。
隆史の資金提供は「痴漢に恋して」だけであり、仕上がりに満足したベテランアニメーターたちは、それぞれの古巣に帰っていったからである。
アニメ関係者からはお手本になると「聖書(バイブル)」とエロアニメ「痴漢に恋して」は呼ばれることになった。
とても悔しがったのは映画配給会社である。エロアニメなので、人気があって儲かるとわかっていても劇場公開用にリメイクできないからであった。動画配信サービスを提供している会社も視聴者獲得のチャンスとわかっていたが、今まで配信してきた作品に自主規制をかけてきたので「痴漢に恋して」だけを特別扱いにできなかった。
「いやぁ、メイプルシロップ先生、聖戦シャングリ・ラに続いて、アニメの売り上げが入ったおかげで、うちの商売もあと10年は続けられそうです」
オールバックで眉毛が薄く人相が良いとは言いがたいこの中年男性は、アニメ製作にスポンサーとして参入していたAV製作会社サンダースの社長の風間良和である。
緒川翠を銀座の〈パンドラ〉に招待して、大盤振る舞いのはしゃぎっぷりであった。
(隆史さんがアニメ製作会社にお金を製作費とは別口で提供したのと美樹ちゃんがすごかったから売れたけど、この人なにもしてないくせに、なんか憎たらしいんですけど!)
「まあまあ、メイプルシロップ先生、こういう人もいないと、企画が立ち上がりませんから。気持ちはよーくわかります」
酔っている緒川翠に、普段は店に出て来ない裏方の副店長である本田綾がつきっきりで宥めていた。

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