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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 541

なりたい自分でいられない、おぞましさすら自分に感じて怯えることすらある。
そこで快感はおぞましいことではないと実感できれば、自分を受け入れられるのではないかというのが倉持志織の見解だった。
「セックスが嫌い、お肉が嫌い、とかいろんな人がいるじゃないか。それを無理に矯正するのはどうなんだろう?」
「自己肯定できなければ、他人の肯定に頼ってしまいがちになります。でも、他人の考えは千差万別ですし、根拠もまちまちで、いいかげんだったりしますから。まして、人前に身をさらすお仕事をなさるのでしたら、自己肯定できることは生きる力になります。その弱さにつけこまれて、小野田美樹さんは利用されたのではないのですか?」
「自分を許してありのままでいいって思えるのって以外と大切なことなんだなぁ」
倉持志織から相談と提案されて、隆史は小野田美樹とデートすることになった。
隆史は「キャラメルマキアート」を飲みながら、小野田美樹が自分を「変態女」だと思い込んでいるのを「変態女」でも生きていてもいいと思えるようになるのか一生懸命、隆史なりに考えていた。
「いつもと同じようにしていただければ良いと思います。小野田美樹さんはお嫌いなのですか?」
倉持志織から隆史はそんなふうに言われている。
ほら、みんなこんなに変態でも生きてるだろう、だから変態でもいちんだ、と小野田美樹がドン引きするような性癖の人たちに会わせてみたとしても、みんなそうなんだからそれが正しいという根拠では、他人の肯定に頼っているのはかわらない。
他人と違う性癖があるから同じ性癖の相手を特別に思い、他人とわかりあえないからこそ、つながりを感じられる相手を求め合うということまで会わせてみても、小野田美樹が想像できるとは思えない。
私にもそういう性癖があるんでしょうか、と自分と他人を重ね合わせすぎた考えかたをして、小野田美樹がもっと自分を嫌いになりかねないと思った。
目の前で微笑を浮かべながら「ホワイトモカ」を飲んでいる小野田美樹が、他人にふりまわされている心のパターンから抜け出せなくて葛藤しているとは思わないだろう。
倉持志織に小野田美樹か相談して、デートに来ているということも隆史には不安に思える。
不幸から抜け出したければ、これこれしなさいと言われたら、そうかなと思って従い、もっと悲惨な状況になっても、それは未来にあなたか幸せになるために必要なことなのです、とか、努力が足りないからこうなったのでこれこれしなさいと言われたら、信じこんでしまいそうだ。それが全部、嘘っぱちとわかったら、また幼児退行を起こすかもしれない。
自分が無条件で受け入れてもらえて、許され、守られていると感じる、そのためになにかをしなくてはいけないという思い込みは、女優になりたいという夢につながっていったのだろう。
「どうして女優さんになりたいと思ったのかな?」
「その役の人物になりきればよろこんでもらえると思うんです。何をしたらいいか、わかりやすいと思いませんか?」
シズノエンターテイメントのグラビアアイドルとして、こうしてくれたらうれしいと言われ、それをすれば自分も幸せになれると言い聞かせて、やってきたことが嘘っぱちだった。女優になりたいと望んていなければ利用されなかったかもしれない。
(その何かをすれば幸せになれるっていう思い込みが嘘かもしれないと、なぜ気づかない?)
幸せになりたいと考えるのはまちがってはいない。
なにかをすれば、ではなく、すでにしているそのことが幸せだと気がつかなければ抜け出せない。
小野田美樹に、だから利用されるんだぞとくどくど説明しても、それを聞いたらちゃんと私は幸せになれるんですね、と目をきらきらさせて言い出しかねない。
「シズノエンターテイメントで、女優とかと話す機会はなかったの?」
有名な芸能人は自宅か第1ビルや第2ビルに暮らしているので、第4ピルで暮らしている小野田美樹には会う機会がなかったらしい。
「第1ビルや第2ビルはファンとか芸能記者とかの人がいつもいるから、警備がすごく厳しいから近づいてはいけないと言われてました」

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