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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 493

「アルベール・レノはジャンヌ・ダルク像の前に来なかった。もしくはすでに潜伏していて、行くことができなかったのでしょう。パリであなたが島袋琉と気がつかずに保護してから、島袋キヨさんの訃報が届いた時にアルベール・レノはあなたの前から姿を消すことになると覚悟したのかもしれません」
倉持志織が何を言っているのか、島袋琉はつかめてきた。
宛先が日本の島袋キヨとなっている手紙、そして、日本からの訃報。
それを取り扱ったのはフランス郵政公社。
1991年の行政機構の改正で郵政省から公社化された。従業員数は約28万人とフランスでは2番目に多い企業となっている。国際郵便や急送便、船便はグループ会社のクロノポストが行っている。
島袋琉が日本の祖母に手紙を出したことで、島袋キヨの所在が判明し、島袋キヨの訃報がパリに届いたことで、アルベール・レノの潜伏先が判明した。
空港ではパスポートをチェックされる。島袋琉がルーアンに行ったことは確認できる。
日時まで正確に。
だから、アルベール・レノは待ち合わせ場所に来ることはしなかった。
だから、フランス警察は化学者アルベール・レノを内偵することができた。
(俺のせいでアルベールは追い込まれたのか?)
「私はフランスの治安について、よくわかりませんが、アルベール・レノがドラッグ・ディーラーに個人的にドラッグを大量に製造して流すことができたとは思えません。日本でドラッグの製造した時は、数量も少なく限定品として作られました。フランスで誰がアルベール・レノという化学者にドラッグ製造を依頼したのかも、どこで大量製造されたのかも私にはわかりません。そして、アルベール・レノはなぜ潜伏しなければならなかったのでしょう?」
倉持志織はそう言って島袋琉の顔を見つめた。
そのあと、すぐに倉持志織が「ごめんなさい。つい興奮して、たくさんのことを話しすぎましたね」と言って微笑した。
「政府から依頼されて新薬開発にたずさわったと言えば犯罪とは無縁で、むしろ名誉なことのように思われるのではないでしょうか」
「はい」
「そのためにアルベール・レノは日本へ派遣され、北川天という人物と接触し、研究施設の代わりに工場をひとつ与えられ新薬を開発した。その薬の情報をフランスへ持ち帰った」
フランスの対外治安総局(DGSE)は、パリに本部を置き、米CIAや英MI6と競うように世界各地で活動してきた。
「フランス国内でアーンジュというドラッグを製造してドラッグディーラーに流したのはアルベール・レノではなかったのでしょう。日本で製造した薬の生産量が少なく、薬を使用した人間がどうなるのか実験データを集めることができなかった」
「フランス政府がアーンジュというドラッグの存在を否定して隠していると、本条恵美さんが俺に教えてくれました」
「国民のドラッグ使用者を新薬の実験台にした、とはさすがに公言することは政府としてはできなかったと思われます。政府関係者とドラッグディーラーのギャング団は手を組んで大規模な人体実験を行ったわけです」
島袋琉がうなずいた。
「アルベール・レノがフランスのパリに在住していたのは潜伏していたのではなく、監視下に置かれていたのでしょう。あなたをアルベール・レノが約束していたジャンヌ・ダルク像の前へ迎えに来なかったのには、潜伏していなかった、逃げまわっていたのではなかったとすると、何か別の事情があったと隆史様は考えたそうです」
隆史は倉持志織に「デートをすっぽかしたら泣いて日本に帰ると思ってたのかもな」と言ったことを、倉持志織は島袋琉に話した。
「日本からフランスのアルベール・レノのところに若い押しかけ女房が来た。その約束がアルベール・レノと交わしたのは島袋琉本人だったとは考えられない。まだちびっこだったんだからな」
倉持志織は隆史の口調を真似してみせた。

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