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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 479

アメリカに中国からドラッグが密輸されているが、徐麗花の組織〈慶龍〉はドラッグに関する仕事は御法度にしている。組織内で麗花の目を盗みアメリカにドラッグの密売をしている者がいないとも限らないが、徐麗花が取り締まりを強化しなくても、隆史と瑠々のおかげで手間が省けたと思った。
(隆史くんに思いがけず謝罪されて、あの子、逆にアルベール・レノのそばにいて危機にまったく気づかずにいた自分のまぬけさを責めて落ち込んでいるかもしれないわね)
麗花からすれば、偽りの希望は早く手放すことができたのを幸運に思うべき、偽りの希望ほど厄介なものはないと思っている。
「事情はわかったわ。隆史くん、お疲れ様でした」と麗花は言った。謝罪のために会いに行った隆史の態度はたとえ結果として島袋琉を傷つけてしまったとしても、隆史らしい優しさだと麗花は思った。
優しさは、残酷なほど人に厳しいことだってある。

校舎を出て徐麗花に電話をかけたあと、隆史は美術部が使っているアトリエを訪れた。
星野舞は隆史が初めて会った頃とくらべると、別人のような満面の笑みを浮かべて隆史のそばにやって来た。虚ろな目と、無気力そうな口調の星野舞の面影は、きれいに払拭されていた。
「ああ、教祖様、わざわざ私に会いに来てくれたんですか?」
「しっ、教祖様なんて呼ばないで、隆史さんかお兄ちゃんぐらいにてくれ」
隆史は唇の前に人差し指を立て、舞にひそひそ小声で言った。
「あっ、こんにちは〜……ねぇ、舞ちゃん、この人、誰?」
同じ美術部の部員だろう。
隆史に愛想良く挨拶して小声で隆史のことをたずねているが、隆史に聞こえている。隆史は聞こえないふりをして、まわりのデッサン用の石膏トルソーなどをながめている。
「私のお姉ちゃんの彼氏の隆史さん」
倉持志織は星野舞の「お姉ちゃん」という設定にされているらしい。
「へー、舞ちゃんが良く電話してるお姉ちゃんの彼氏さん……隆史さん、月虹学園、美術部へようこそ」
「隆史さん、友達の河井望ちゃん、同じクラスで、寮で私の隣の部屋なんですよ」
「うん、こんにちは。望ちゃん、いつも舞がお世話になってます」
隆史がそう言って軽く頭を下げて挨拶する。
「いえいえ、こちらこそ舞ちゃんにお世話になってます。ところで隆史さん、今日は何のご用事で?」
河井望は隆史の抱えている包みを見ながら言った。
「今日は舞が美術部だと聞いたので、お兄ちゃんが実用的なプレゼントを渡しに来た」
隆史は面談の前に学園の事務局に届けさせた包みを舞に渡した。
「舞ちゃん、実用的なプレゼントだって」
河井望は隆史の抱えていた包みが気になっていたようで、ねぇ開けてみなよと、舞に目でうながしている。
「ここですぐ開けてみていいですか?」
「うん、そのほうがいいね」
そばのテーブルに置いて、星野舞が丁寧に包みを開いた。隆史と会った頃の舞なら、無造作に無表情で、包み紙をびりびりと破いてしまうだろう。
「わっ、これって……いいな〜!」
包みの中身を覗きこんでいる河井望が目を見開いて笑顔で隆史のプレゼントを見つめている。
ターレンスというメーカーのレンブラント油絵具ラグジュアリーボックス41色セット。
「舞、これは顔料の密度が高いから、発色がかなりいい。使ってみてくれ」

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