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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 436

アルベールが失踪したあと、日本の廃工場の施設や土地と2220000ユーロ、日本円に換算して、およそ3億円ほどの貯金が琉に残されていた。
アルベールが日本の宗教団体に10年間、薬物を製造して売り稼いだ金で働かずに暮らしているとは聞いていたが、琉が17歳の誕生日に譲渡するようアルベールは法的手続きを行ってあった。
「この手紙を君が読むときには、私はもう生きていないかもしれない。または、廃人となっているかもしれない」という書き出しで始まるアルベールの手紙と財産を、琉は受け取り日本に帰国して暮らし始めた。
アルベール失踪の手がかりは「天使が迎えに来た」という最後の言葉にあると、琉は考えたからだった。
アルベールが日本で製造した薬物の原液は、琉に残された廃工場に保存されていた。
アルベールが失踪したのは、この薬物の原液のありかを聞き出すために何者かに拉致されたのではないかと、琉は日本に来るまで思い込んでいた。
たとえば、アルベールと取引があった宗教団体の教祖・北川天は、かなりあやしいと考えていた。
ところが、北川天という人物に、琉が日本に来て、すぐに連絡を取ろうとしたが消息不明であった。
アルベールの製造した薬物を奪い来る者がいれば、手がかりがつかめるかもしれないと、琉は廃工場で暮らしている。
北川天が宗教団体〈天満教〉の教祖だという情報まではインターネットで簡単につかめたが、消息については一切わからなかった。
アルベールの手紙には、薬物の名前が〈天使の涙〉と呼ばれていたことや、使用すると多幸感と強い幻覚作用があるとも書かれてあった。
アルベールは失踪前に〈天使の涙〉を使用されたのではないかと琉は考えていた。
フランスで一緒に暮らしていた琉の前から、アルベールが姿をくらました事情はわからない。
強烈な薬物を使用された結果、すでに廃人になってしまっていて、自分の名前も思い出せないようになってしまった状態で、どこかで治療を受けているのか、それとも衝動的に崖から飛び降りたり、拳銃などで頭を撃ち抜いたりして身元不明の死体になり果ててしまっているのか。
琉は〈天使の涙〉の原液を自分で使用したり、密売しようとは考えなかった。
琉には〈天使の涙〉の効果がない。
ドラッグを密売しなくても、琉はアルベールが残した金で暮らしていける。
島袋家は檜垣家の分派というべき血筋の家系で、琉が15歳でフランスのパリを一人で放浪していたのは、島袋家の後継者としての修行中だったからであった。
琉が容赦なくターゲットに〈天使の涙〉の原液を注射するのは、治療できる知識と原液から解毒薬を作れるからだった。
アルベールから琉は〈天使の涙〉の製造方法を聞き出していた。
琉の誤算は57歳のアルベールと関係を持ち、恋人として同棲してしまったことである。
アルベールは琉に製造方法やその密売で得た金を譲るという約束は守った。アルベールが死ぬまで琉と暮らすという約束は、守られなかったが……。
琉はかなり歳上のアルベールと恋に落ちた。
アルベールはもともとはゲイだった。
「君は体は女の子だけど、心は男の子だ」とアルベールは琉を愛した。
1年間アルベールと同棲し、フランスの各地を旅して、島袋家の後継者だというのもどうでもいい、アルベールが死ぬまで添い遂げる気でいた琉は幸せだった。
アルベールが失踪してから、琉は胸に穴が空いてしまったような気持ちを抱え続けていた。
それでも、今夜はラーメン屋で、コクのある豚骨醤油スープのチャーシューメンをすすりながら、どんな気持ちでも空腹になる自分に琉はあきれている。

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