PiPi's World 投稿小説

媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

の最初へ
 365
 367
の最後へ

媚薬の罠 367

音楽の授業では、ビアノが弾ける瑠々に手伝ってもらい、クラシックからビートルズ、そこからコード進行を壊したジャズのコルトレーンまでを聴かせ、さらに「4分33秒」という音楽家ジョン・ケージの無音の曲の話をした。
観客の息づかいまで、音楽に取り込むようだと。
「声域とかもあるから俺はうまく歌えないし、瑠々みたいに絶対音感はないけど、世界に音楽はあふれてる。こんなにおもしろいものはないと思う」と授業をした。
若い音楽の女教師の坂本はプライベートでは趣味で仲間とバンドを組んでいてギタリストだったので、隆史の授業の翌週は、瑠々のビアノ演奏とエレキギターの演奏のセッションでロックを披露し盛り上がった。
「坂本先生、かっこよかったんですよ」
瑠々がその時のことを思い出して、うっとりとした声で麗花に言った。
「だから、美術と音楽は瑠々に聞いてくれ」
隆史は焼きそばパンを食べきって言った。
麗花は檜垣隆史が中学生の頃にやらかして、今でも学園では伝説の授業と言われている話を瑠々から聞かせてもらった。
学園で人気があって生徒会長に毎年推薦されているが、隆史が辞退していることも聞いた。
「そういうのは運動部で人気のあるやつとか、見た目がかっこいい成績のいい女子がやればいい。学園の顔みたいなもんだろう?」
隆史はそう言っていた。
麗花と瑠々と隆史は同じクラスで席も近く、二人が麗花によくかまってきてそばにいたので「三人はすごく仲がいいよね、うらやましいな」とクラスメイトの女子が麗花に言うことがあった。
「麗花ちゃん、クラブ活動やらないの?」
山崎瑠々が放課後、学園の図書館で麗花に言った。
麗花は転校してきて1ヶ月すぎたが、どこの部活にも入部していなかった。
「瑠々ちゃんもクラブ活動してない」
「えー、私は読書クラブだから、ちゃんと活動してるよ」
瑠々は金曜日の放課後、図書館に来て本を返却してまた、1冊貸りて帰る。
麗花はおとなしくてきれいでかわいい転校生としてクラスに穏やかになじんでいる。周りとの会話が微妙にかみ合わない。麗花から話しかける共通の話題もない。
……檜垣隆史と山崎瑠々のふたりを除いては。
転校生の面倒をみるのに義務を感じているのか、休憩時間には、なぜか麗花の机に集まるのだ。
中間試験が近く、瑠々が「はあぁっ」と深くため息をついていた。
「どうしたんだ?」
隆史が自分の席に座っている瑠々に声をかける。
「だってぇ、もうすぐ中間試験じゃない」
「ああ、そうだな」
「なあに、その、そんなのもあったなって感じのそっけない返事は」
瑠々は、どこか遠い目をしている。
「……瑠々ちゃん、勉強は苦手?」
「苦手な教科があるの」
麗花に瑠々が答えて、また、ため息をついた。
「しかたないな、だったら3人で予習でもするか。麗花もうちの試験は初めてだろう、一緒にやる?」
「いいの?」
「瑠々には聞いてない」
「うわっ、隆史くん、ひどーい」
瑠々が自分の席に戻るために隆史の席から立った。
麗花が3人でやりましょうか、と言うと瑠々がぱあっと笑顔になると「うんうん」と大きくうなずく。
瑠々の明るい笑顔を麗花はかわいいと思う。
「どの教科からやるか考えとくよ。金曜日だから、図書館でいいな?」
「うん」
隆史が金曜日だからと言った理由が図書館に初めて瑠々と来てみてわかった。
「まだ来てないみたいですね、隆史くん」
二人で図書館内をぐるっと一周歩いてみたが隆史が見当たらない。
「あっ、もしかして……もう来てるかも!」
瑠々が何か思い当たったらしく、貸し出しカウンターのところにやって来た司書の綾小路先生に声をかけた。
「隆史くん、ここに隠れてたら、私たちわからないでしょう」
「ん、やっと来た。綾小路さんにはちゃんと許可取ったし、瑠々を見かけたらここにいるって伝えてって言ったんだけどなー」
「いいわけするなっ!」
「うわっ、瑠々、くすぐるな、ははははっ!」
そこはこれから貸し出し予定の本や傷んだ本などを置いておく書庫で、生徒は許可なく立入禁止の部屋だった。
「檜垣くん、騒ぐなら運動場にでも行ってもらいますよ」ドアが開いて、司書の綾小路先生が口調はおだやかだが、隆史に注意してドアを閉めた。
「あー、瑠々のせいで俺、おこられた」
麗花がそんなやりとりがおもしろくて微笑する。

SNSでこの小説を紹介

レイプの他のリレー小説

こちらから小説を探す