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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 358

「龍之介さんが自分は死んだことにして身を隠したのは、麗花の思うように目立ちたくなかったからなのかもしれないな」
隆史は麗花にそう言って、手に取った古いノートを棚に戻した。
「調べないの?」
「今夜はもう調べないことにするよ。むきになりすぎると、逆に見落とすものだってあるからね」
隆史はマグカップにインスタントコーヒーにミルクをたっぷり入れた。
「一口だけもらっていい?」
「麗花はコーヒーは飲まないと思ってたよ」
「何でも思い込みは良くないわ」
おいしいともまずいとも麗花は言わず、隆史にマグカップを返した。
隆史がコーヒー牛乳を飲みながら、麗花に湯治場の開発について意見を聞いてみた。
「年間でもっと多くの人が訪れなければ、収益が運営するための支出を上回ることは絶対にない。運営を継続するほど赤字になる。私なら開発よりも、運営を中止する。来訪者の数が増えるほど、必要経費の支出も増えていくから。観光地ではなく、人を移住させるにしても、ここで自分たちが生活していくメリットがあると感じ続けなければ、いずれは定住せずに離れてしまう」
「メリットか」
「隆史くんは樹海の中の洋館で、メイドさんを雇って暮らしているでしょう。メリットがあるから、あの場所で暮らしている」
「うん。薬の触媒を採取できるのがメリットだね。あとは、樹海のおかげで必要な人しか来ないのはメリットだな」
「デメリットよりもメリットを重視して選んでいるでしょう。この湯治場に来れば安心な人たちは、噂を聞きつけてもう利用している」
「初音の撮影スタジオの利用客たちだね」
「人目につかない場所だから、それがメリットで訪れているけれど、開発して人が増えたらメリットがなくなるから来なくなる。メリットは運営するこちら側の都合じゃなくて、利用者の都合しだいだから」
「開発するのも難しいものだな」
「もしも、ここが便利な観光地で人が多くいるところなら、私は来なかった。ふもとの町が過疎化したら、訪れるにも暮らすにも、もっと不便なところになるでしょう。もしも、私が手をつけるとしたら、ふもとの町を開発して発展させてから、ここに移住者を集めるでしょうね。でも、時間と経費がかかりすぎるから嫌だわ」
徐麗花と谷崎麗では、ここを開発すると考えてもかかる時間や規模のイメージがちがう。
「この温泉はいつから使われてるの?」
「室町時代とか安土桃山時代、戦国時代なんて呼ばれかたをしてた頃にはあったみたいだよ。御先祖様が猿と一緒によき湯につかった、なんて手紙に書き残しているから」
「村がなくなったのは、いつ頃かしら?」
「昭和44年、西暦だと1969年に谷崎家以外の村民は引っ越していなくなったって龍之介さんが書き残しているね。その時に龍之介さんは10歳で谷崎家の養子になっているんだ。戦争中はこの村は空襲の被害もなかったけど、山を田んぼや畑にするのは大変で、ふもとまで働きに行ってたり、山で狩猟したりしてたらしいよ。ふもとに住む人たちもここの元村民の子孫だったらしい。時間をかけて少しずつ人が下山していったみたい」
「もっと前に、廃村になったんだと思ったわ」
「綾子さんが生まれたのが昭和54年で、綾子さんが生まれる10年前にここは谷崎家しかいないところになってる。ちなみに俺は平成元年生まれだよ」
西暦2004年に綾子が23歳の時に麗を出産している。初音がまだ5歳だったから、綾子を母親だと思うように育てることができた。
「43歳の龍之介さんが23歳の綾子とセックスして麗が生まれたわけだ」
隆史と麗には15歳の年齢差がある。
「俺は初音や麗が俺の親父の隠し子なんじゃないかって疑ってたんだけどね」
徐麗花は27歳。隆史は7歳年上、麗は7歳年下ということになる。
「隆史くんと私が初めて会ったのは19歳、ウクライナ危機があったり、香港民主派のデモ隊が幹線道路を占拠した年よ」
中国全国人民代表大会(国会)常務委員会が2017年の香港行政長官「普通選挙」で中国当局に批判的な民主派を締め出す方針を決めたのを受け、「真の普通選挙」実施を求める学生らが9月28日から香港中心街の幹線道路を占拠。デモ隊は一時約10万人に膨れ上がった。1997年の香港返還以降、最大の政治的混乱となった。警察の催涙スプレーを傘で防いだことから「雨傘革命」とも呼ばれている。ただ、道路占拠が長期化するにつれ、市民の支持は低下。警察は12月11日、政府本部に近い金鐘(アドミラルティー)に陣取る学生らを強制排除し、道路占拠は2ヶ月半でほぼ終結した。
徐麗花は、そんな香港から離れて船旅をしていて隆史と出会った。

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