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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 356

隆史はオムライスを作ってもらい、出てきたオムライスにはケチャップでハートマークが器用に描かれていた。
「おいしくなる魔法をかけてほしい?」
麗に言われて「もう、おいしそうだから大丈夫。いただきます」と返事をして、もぐもぐと食べ出す。
(あー、もう照れてちゃって、隆史さん、かわいいぞっ)
麗が隆史を見て、またにやけていた。
「清水さん、初音の腕前はすげぇだろう?」
「はい、素敵な写真がいっぱいでした」
昨夜、本条恵美からあれこれ裏事情を聞き出している清水真奈美はテーブル席に戻って、サンドイッチを本条恵美と一緒におとなしく食べている。
夕食時に話を聞いた八神渉が「俺もハートマークを描いたオムライスを作ってもらいたいな」と吉川雅美に言った。
すると「八神さん、作ってさし上げましょうか?」と谷崎綾子がまじめな顔で言ったので、夕食の席がなごんだ。
隆史は夜、温泉に入ったあと「隠れ家」に早足で行き、調べものをしている。
徐麗花はそれを見かけて、あとをついて行こうとして、途中で気づいた隆史に待ち伏せされた。
「麗花、ついてきたら迷うじゃないか」
「隆史くんこそ、夜なのにどこ行くの?」
「麗花、俺が夜に出かけてることも、どこに行くかも、みんなに内緒にできるか?」
「わかったわ。内緒にしてあげるからついて行ってもいいでしょう?」
「しようがないな。足元、暗いから気をつけて」
隆史に腕を組んでもらって、徐麗花は隆史の丸太小屋に案内された。
「俺の隠れ家だ。上がって」
「あら、素敵じゃない」
徐麗花をソファーに座らせて、隆史は隣に腰を下ろすと、ここは隆史専用の薬の工房でもあることを説明した。
「それで今夜は何をするつもりだったの?」
麗花に壁際の棚を指さして、並んでいる古文書や古いノートを調べてることを話した。
麗花は、ここは隆史の父親の檜垣家先代当主の雅樹と谷崎龍之介のいた猟師小屋だったことを聞いた。
隆史の父親について隆史から話を聞いたのは、麗花は初めてだったので、静かに口を挟まず、うなずきながら聞いていた。
徐麗花が受け継いだものは、人身売買組織と資産であり、その為には諦めなければならないものも多くある。
檜垣家の莫大な遺産と驚異的な効力の薬物作りの才能や〈神眼〉という能力を受け継ぐ隆史が、両親の愛情、とりわけ自我崩壊した母親からの愛情を奪われている分だけ、父親の残してくれたこの湯治場や〈神眼〉の能力に思い入れが強いことがわかる。
麗花は貧しくとも、母親からの愛情を受けて幸せだった思い出があるが、母親の命を犠牲にして徐一族の組織と資産を得たという思いは消えない。
それは自分ではどうすることもできなかった運命だったと、受け入れて生きるしかないと麗花は諦めている。
隆史は運命だったと諦めることができないでいる。それは麗花には、かけがいのない優しさだと思うが持つべき力が大きいほど、それとひきかえに犠牲も大きくなることを受け入れて生きるのも、持たざる者にはない持つ者である覚悟だと麗花は思う。
隆史が恋人とメイドの燕杏を連れて都会から田舎へ気晴らしに旅行に来ているわけではない、と麗花はこの時まで気づかなかった。
「隆史くん、その〈神眼〉の力やこの湯治場をふくめた遺産を隆史くんのお父様はどんな思いで隆史くんに残してくれたんだと思う?」
「どんな思いなんて考えなかったな」
「それは力を持つ者の傲慢ですよ、隆史くん。少し私のことも話していいかしら?」
「うん、聞かせてほしい」
柳珠蘭(リーゥシュラン)、麗花を生んで娼婦をしながら貧しくても病で死ぬまで娘の麗花に愛情を注いだ。
「徐家の屋敷から身を隠し、私を徐家の後継者争いから逃がすためにとても苦労した。私を捨ててしまえば、あれほど苦労せずに命まで落とすことにもならなかったでしょう。自分の死期を悟ったとき、私を生かすにはどうすればいいか、母として柳珠蘭は決断をした。徐家の大旦那に居場所を伝え、私のことをお願いしますって手紙を書いて届けさせた」

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