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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 352

隆史が気になるところがあり、ページをめくる手が止まった。
龍之介の〈神眼〉と檜垣家に伝わる〈神眼〉は流派がちがっている、という記述である。
檜垣家に伝わる〈神眼〉は出雲大社の巫女が檜垣家へと伝え、安土桃山時代に歌舞伎の創始者とされ、諸説の中には織田信長の落とし胤という説もある出雲阿国も〈神眼〉を身につけていたらしい。
隆史だけでなく麗が〈神眼〉を使えるのは、どうやらこの檜垣家に伝わる〈神眼〉の流派の方法で、まだ赤ちゃんの麗に檜垣雅樹が〈神眼〉で催眠暗示をかけておき、七つ送り、山の神の巫女として幼女を嫁がせるときに、その幼女に巫女として〈神眼〉を与える儀式を使い、麗に身につけさせたものだとノートの記録からわかる。
麗は檜垣家に伝わる流派の、山の巫女の〈神眼〉の使い手ということになる。
山の巫女の〈神眼〉継承の儀式は赤ちゃんのうちに仕込み、幼女になって覚醒する。
谷崎龍之介が身につけていた〈神眼〉は古代インドの時代から伝わっていたものを空海が経典の知識と一緒に日本に持ち込んだものとされており、これに陰陽道の思想を加えて、修験者つまり山伏たちに伝えたとされ、檜垣家へと伝えられている〈神眼〉とは、別の流派だったらしい。
修験道は奈良時代の山岳修行者の役小角を初祖とする宗教で、霊験を得るための山中の修行と加持・祈祷・呪術儀礼を主とする。
密教には、真言宗の東密と、天台宗の台蜜の二つが残っている。天台宗の台密は、最澄、円仁、円珍などが唐から伝えたもので比叡山を中心に発展した。
空海の伝えた東密は、京都の東寺で発達したものであり、東密では、高野山、東寺、根来寺の三大学風といい、この三カ所を中心にして教学の研究が行われた。
こうして体系化された密教の総称を純密とよび、純密が体系化される前に断片的に信仰されていた密教のことは、雑密と呼ばれている。空海が伝えたとされているが実際は雑密として、その時代にあったものを融合させたものにまざっていたのだろう。
インドから〈神眼〉が仏教の思想と渡って来たとすると唐王朝の時代に中国の僧玄奘がインドに渡り、657巻の経典、仏舎利、仏像を持ち帰って来たときに一緒に中国に持ち込まれた秘技ということになってしまう。
(つまり〈神眼〉のルーツは、西遊記でも読んだらわかるのかな?)
檜垣家へと伝えられている〈神眼〉と谷崎龍之介が身につけていた〈神眼〉を、ふたりは融合させているので、ルーツに関しては、隆史が思うに、とても歴史のロマンあふれる大混乱ぶりなのだが、ルーツを気にせず実用性だけ考えるべきかもしれない。
どちらが本流の〈神眼〉か雅樹と龍之介が痴話喧嘩を起こしたあと仲直りして、新しい〈神眼〉として融合を試みた記録に、隆史は一人でにやにやして、荒唐無稽なボーイズラブ小説のようだと思う。
(だから先代当主の雅樹は、わざわざインドに渡ってヨガの修行なんてやってみたのかな?)
本条恵美から隆史の山ごもりの留守中に、初音と麗からチャクラのトレーニングを受けたと聞いたので雅樹が龍之介にインドでの修行の体験を伝えたことがわかる。
谷崎龍之介が〈神眼〉をどうやって身につけたのかを知りたくて、隆史は龍之介の日記と〈神眼〉関連の記録ノートを合わせて読み返してみた。
密教的な思想と陰陽道的な思想。死後に仏になるのではなく生きたまま仏となる即身成仏の思想と陰陽の思想について龍之介は日記を書きながら考えていたらしい。とりとめのない断片的な文章が、まるで詩のように並んでいる。
快感の果ての無我の境地、即身成仏。
陰陽道。中国古代の思想、陰と陽は天地間にあり、互いに対立し依存し合いながら、万物を形成している。
日、春、南、男などは陽。
月、秋、北、女などは陰。
男性の龍之介が男性の雅樹に恋をして、欲情していることを「陰陽道の思想は俺の心を否定するのか」と龍之介が書き記し、かなり葛藤しているあたりがなんとなく文学的だと隆史はおもしろく感じてしまう。

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