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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 336

「恵美が楽しんでくれてるなら、ありがたいけどな」
「隆史さんは、誰かのために何かするのが好きですよね。それがこの旅行でもよくわかります。私、それが、とてもおもしろいんです」
「んー、そうかな?」
燕杏と谷崎初音の結婚話に協力した。
谷崎麗が湯治場から出て一人暮らしをしたいと相談されて、協力の約束をして働き口を紹介した。
谷崎綾子の仕事の負担を軽くするために、八神渉と同棲中の恋人の吉川雅美を雇った。
八神渉が生活に困らないように仕事をあたえた。
幽霊の小西真由美が、安らかな夢がみられるように山ごもりで身につけた〈神眼〉で協力した。
「せっかくの慰安旅行なのに、俺は他のことばっかりしてるよな」
そう言ったあと隆史は照らされている石畳の道から外れて、恵美の手を引いて歩き出した。
(隆史さん、どこに連れて行く気かしら?)
古民家のある廃村に手を入れて温泉宿として使えるようにあれこれ手直しされているが、夜間、温泉とコテージ代わりの古民家や谷崎家の人たちが暮らす家のあたりは使われている家の電灯と、石畳の道は石灯籠に蝋燭がわりのオレンジ色のライトが仕込まれている明かりの範囲以外はかなり暗い。
雑木林の間の小道はかなり複雑に入り組んでいる。隆史の案内なしでは、昼間でも絶対に迷ってしまうだろうと恵美は思った。
隆史と15分ほど歩いて雑木林を抜けた先にあったものは「ここは谷崎家の人たちも知らない俺の隠れ家」だった。
平屋建てのログハウス風の家で、間取りはわかりやすく言えば正方形の箱の左側の奥にトイレやシャワールームがあり、右側奥にキッチンとバーカウンターと冷蔵庫と食器棚がある。中央に背もたれを倒せばベッドがわりになるソファーが置かれている。
右側の壁の扉からウッドデッキに出られる。
ウッドデッキからは薬の素材管理用の地下室に行くことができる。
左側の壁際の棚には養豚別の乳鉢がずらっと並び、部屋の飾りのようにも、博物館の展示物のような雰囲気もある。下段は本棚になっていて、古文書から古びたノートなどが入れられている。これは檜垣雅紀と谷崎龍之介の残した製薬関連の記録用のノートである。
天井ば高めで、天井の一部がガラス張りで、室内の明かりを消してソファーベッドに寝そべれば星も見えるらしい。
「麗のところのコーヒーにはかなわいけど、インスタントコーヒーのアイスコーヒーでいいかな?」
キッチンの前のバーカウンターの椅子に恵美は座って、隆史がインスタントコーヒーのアイスコーヒーを出してくれるのを待ちながら、ここは隆史用の工房として作ったのだと恵美は説明された。
「この村はずれの隠れ家から山の中を抜けてふもとの町に行くことも、俺ならできるんだけど、谷崎家の人たちには無理だし、昔の村の人たちも無理だったらしい。ここには猟師小屋があったから、猟師の人はここから山に狩りに行ったんだろうね」
ここには隆史がふもとの町で買って運んできたインスタントコーヒーや、ポテトチップスなどがある。隆史が旧谷崎家にいない時に、隆史は谷崎家の誰かのところに出かけていると恵美は思い込んでいた。
ここで隆史は古い記録を読んだり、旅行から帰るときに渡すための常備薬を作ったりしていたことがわかった。
恵美は風呂上がりで知らない夜道を緊張しながら歩いたあとなので、喉が渇いていた。
隆史がアイスコーヒーを出してくれたときに、砂糖やミルクはいるかと恵美に聞かなかった。
麗のカフェで恵美が砂糖やミルクを入れないブラックでコーヒーを注文したのを、ちゃんと隆史が覚えていたのが、なんとなくうれしい。

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