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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 261

谷崎初音はこの檜垣家の湯治場で妻として自分の子供を育てながら帰ってくるのを待っていてくれると言い、死ぬときは一緒に、とまで言ってくれている。
初音に手を握られて見つめられた燕杏は「ありがとう」と言った途端に、胸の奥が熱くなり、泣きたくなってしまった。初音が微笑みを浮かべた。
「こちらこそ、ありがとうございます」
初音はそう言って手を離した。
「おやすみなさい、燕杏さん」
初音は元村長の家の古民家の中へ戻って行った。
その場で立っている燕杏に本条恵美が近づいてきて、声をかけた。
「本条さん、離れて見てましたね」
「キスするかと思ったけどしなかったですね」
「隆史様とはよくキスしますか?」
「山登りに行く前に、ちゃんと私にキスしてから隆史さんは出かけました。そういうところはまめな人なんです」
本条恵美が照れ笑いを浮かべて歩いている。
「ついて行きたいと思ったのではありませんか?」
「見たでしょう、あの早足について行くのは大変ですから。それに私がついて行ったら、隆史さんは気を使うかもしれない。たまには離れているのも必要だと思います」
燕杏は隆史の居場所を聞き出そうと探偵事務所で本条恵美とやり合ったのを思い出していた。
隆史が姿をあらわしたので、中断したが、かなりの腕前だとわかっている。
その時の本条恵美のイメージと、隆史の旅に同行して二人で話している今のイメージではズレがある。
本来の本条恵美は探偵事務所で会ったときの凛々しい感じの隙を見せない女性なのだろう。隆史のそばに微笑を浮かべてついて歩いているときは、その時のピリッとした緊張感がない。
(今夜の本条さんがよくしゃべるのは、初音さんのせいで私の雰囲気が優しくなっているからなのか)
「初音はてっきり隆史さん狙いだと思ってたけどな」
「姉さんと似てるから美形の男性が好きなのよ」
麗のカフェで、谷崎綾子と麗が珈琲を飲みながら話している。綾子のいる元村長の家に集まることは多いが、綾子から麗のカフェに顔を出すことはめずらしい。
谷崎綾子の姉、谷崎椿は谷崎龍之介と檜垣雅樹が美形だったのでよく二人を見つめてうっとりとしていたと綾子は思い出して麗に言った。
「隆史さんが来るまで、綾子さんをずっと叔母さんだと思ってたけど、本当はお母さんだったなんてあたし、気づかなかったよ」
「初音と麗を姉妹にして育てたほうが育てやすかったからね。椿姉さんが生きてたら、いとこで育てたかもしれないけど、近くに暮らしているから姉妹みたいに育ったとは思うよ」
隆史の前や客人の前では敬語で話す綾子だが、麗だけと話すときには口調がちがう。
初音と麗が二人でいれば口調は丁寧になる。初音の話し方が麗とちがうのは、綾子の口調の使い分けによるものだとわかる。
「お母さんって呼ぶのはへんな感じだから、今までと同じで、綾子さんでいいよね」
「急に変えられても、私のほうが落ち着かない。今までと同じでいきましょう」
「綾子さんがカフェに来るのはめずらしいね。初音のことで何か話がある感じ?」
「初音じゃなくて、麗はどうするつもりか気になって」
「え、あたし?」
「初音は自分が気に入った相手を見つけたみたいだけど、麗は当主様一筋って感じなのかしら」
「うん。ライバルはけっこういるみたいだけどね」
麗が隆史狙いなのは変わらないようだ。
谷崎家の女性が男子を産んだ記録は残っていない。産んでも女子で、双子だった例もあるので、一人かふたりしか産んでいない。
「龍之介さんと私たちは、谷崎家を残すことを優先した。初音はたしかに龍之介さんと姉さんの血を継いでいる子だと思った。谷崎家を残すことを考えれば、他の男性を選ぶほうが無難だから」
他の男性と関係を持って子供を産んだあと、もう出産できる確率が低い谷崎家の女性は、かつては愛人たちの産婆や檜垣家専属の治療師として生きてきた。
檜垣家当主の愛人候補としては、子供が産めるほうが適している。檜垣家当主に娘を献上して、見返りに援助を受けたいと思う者もいる。
隆史の別荘で暮らす美少女、中島玲香と彫物師の家系の美女、氷川奏。
この二人は隆史に献上された娘たちである。
「隆史さんが発作を起こしたときに止められる可能性があるのは私だけ。これは他の愛人にはできないこと。私は隆史さんの命を優先するわ」
「後継者は初音が産むでしょう。そのかわり隆史様のメイドさんは、あなたと引き換えに交渉します」

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