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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 260

夕食前に、詳しい話を厨房で初音から聞いた谷崎綾子が、夕食後、宴会場に食事を終えて残っている四人にそう言った。小細工、たとえば催眠の失敗で燕杏の意識が戻らなくなったので、隆史と本条恵美は街に帰り、燕杏だけは治療で湯治場に残ることにする方法も思いつくが、隆史は自分で燕杏を治療すると言い出しかねない。
「隆史様が戻られるまで、といっても明日かもしれないし一週間後かもしれないので、なんとも言えませんが、隆史様に放してみます。隆史様がいいと言われたら、初音の思った通りに事は進むでしょう。燕杏さん、そのときになって逃げることは許しません。その時は初音と心中していただきます」
谷崎綾子は調教中止に同意した。
「シンジューとは何ですか?」
燕杏は泊まっている旧谷崎家の古民家に帰る前に、裏口から出てきた初音に質問した。
ロミオとジュリエット、と初音は言った。
14世紀イタリア。ヴェローナの2つの名家、キャピュレット家とモンタギュー家は仇敵同士。
ところが、モンタギュー家一人息子ロミオとキャピュレット家の一人娘ジュリエットが互いに一目惚れしてしまう。
修道師のロレンスは「この縁組」が両家の和解を導くこともあろうかと一肌脱いで二人をひそかに結婚させる。
しかしロミオは喧嘩に巻き込まれて、ジュリエットの従兄弟ティボルトを殺し、ヴェローナを追放される。
一方、ジュリエットは大公の親戚、パリス伯爵との結婚を両親に命じられる。
修道士は一計を案じ、ジュリエットを薬で仮死状態にして葬らせ、蘇生後にロミオと駆け落ちさせようとする。
ところがロミオは、その手はずを知らないまま、ジュリエットの死の知らせを受けると墓に駆けつけ、毒薬をあおって死んでしまう。目覚めてロミオの死を知ったジュリエットも短剣で自殺する。
シェイクスピアの有名な戯曲である。
初音との婚約というところまで話がまとまったあと、子作りせずに燕杏が逃げたとしても、必ず燕杏を見つけ出し殺して、初音もそのあと自殺する。
「この世で結ばれないなら、来世で一緒の時期に生まれ変われるように、結ばれなかった恋人たちが一緒に死ぬことを心中といいます」
もし初音の説明を、本条恵美が燕杏と一緒に聞いていたとしたら、それは無理心中だと指摘するだろう。
谷崎家の存亡にかかわる大事な話だけに、気が変わったから婚約を破棄すると言われても困るのはわかる。
しかし、約束を破れば初音に命を狙われ続けるとは。
「それは、離れていても、ずっと私のことを慕い続けてくれるという意味ですか?」
「もちろんです。そして、何年かおきに帰っで来てくれたらうれしいです。結婚しても、何をしていてもかまいませんが、あなたが死んだら、私も死ぬということは忘れないで下さい」
初音はそう言うと、燕杏の手をそっと握った。
燕杏はいくつか思っていた願いがあった。
自分の体の秘密を知っても差別しない人と会いたい、という願い。
それは徐麗花をふくめ、親友の小峰勝、月岡愛莉、檜垣隆史や本条恵美、そして谷崎家の3人と多くの人に会えた気がする。故郷の両親でさえ差別して遠ざけたというのに。
差別した奴らをどれだけ殴ってきたことか。
故郷を失った自分でも帰れる場所と待っていてくれる家族がほしい、という願い。

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