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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 224

それを「小さな蟻が大きな虫の死骸を運んでいるのを見て楽しい」「鳩が歩きながら頭を3回か4回ゆらすのが楽しい」「1発の弾丸が目の前の人のこめかみを撃ち抜いて楽しい」と具体的だったり、ふだん意識しない具体例だと混乱して暗示をしかけても実行されない。
道路に空き缶が落ちているのを拾ってゴミ箱に捨てるとあなたは「楽しい」という暗示なら「あの落ちている空き缶を拾ってみて」と言われて、拾ったときやゴミ箱に捨てる時になぜかとてもいいことをした気分になり「楽しい」と感じるかもしれない。
暗示で強い嫌悪感を感じることや想像の範囲外のものは実行されにくい。かけられた相手が暗示の指示を想像で補うために、暗示をあたえた人が思ってもいない行動を実行する人もいる。
「フィーリングが近いセンスの人でなければ暗示が伝わらない、ということですね」
燕杏が隆史に言った。
「だから、眠れ、とか、帰ってふとんで眠る、ぐらいなら麗の催眠であたえられる暗示の有効範囲内ってことなんだろうな」
隆史の父親、先代檜垣家当主の〈神眼〉は強い強制力があった。美形で儚い印象、物静かで優しげな口調の雅樹は、体力や運動能力は人より劣る。精力も淡白なほうである。
檜垣一族の歴史や様々な知識に精通していた。
媚薬を使うことを好まなかった。媚薬を使うのに適した檜垣家当主の毒物に耐性があるという特性を持ちながら、体力と精力があまりないので相手の女性を満足させられず欲求不満にさせてしまうのが嫌だったらしい。
愛人たちの要望を受け入れ、一度だけ欲情の発作に身を任せて荒淫を行って、隆史を孕ませることに成功した。
その後は自分の〈神眼〉の自己暗示により勃起しない体を手に入れて、10年の余生を、隠居の身としてすごした。
……ということになっているが、隆史が10歳の頃に雅樹は亡くなっているが、その場所は旧谷崎家、この湯治場で息を引き取っている。
その時に雅樹が谷崎家の女性と関係を持ち、谷崎家は女系の血統だったので、麗が生まれたとすると、麗の〈神眼〉の特技は雅樹ゆずりということになる。
麗の特技が〈神眼〉であることを10年間忘れさせたり、隆史に谷崎綾子と谷崎初音が夜伽をして関係を持ったことを隆史だけでなく綾子と初音の記憶から消去したのは、当時10歳で隆史の精液を舐めてしまい酔っていた麗の〈神眼〉の催眠ではなかったのではないかと、隆史は疑っている。
雅樹が残した〈神眼〉の催眠ではなかったのか、と。
昨夜の集まって話したことは消去しきれないのか、わざと残したのかわからないが、目を覚ました本条恵美と燕杏は夢だと思っていた。
「朝食はカフェに行ってみるか」
隆史は二人を連れて古民家の内装をカフェ風にした谷崎麗のところに行ってみることにした。
「いらっしゃい、隆史さん」
カウンターの向こう側からジーンズにシャツでエプロン姿の麗が言った。
「隆史さんはホットケーキでいい?」
「ああ、飲み物は甘めのカフェオレで頼む」
「探偵さんと燕杏さんはどうなさいますか?」
メニュー表を見て、二人はサンドイッチを注文した。
「お飲み物はいかがなさいますか?」
燕杏はアイスレモンティー、本条恵美はアイス珈琲を注文した。
隆史がフライパンの形にきれいに焼けた丸いホットケーキに蜂蜜をたっぷりかけて、ナイフとフォークで切り分けてもぐもぐと頬ばっている。
「探偵さん、見て。くまのプーさんぽくないですか?」
隆史と本条恵美の目が合った。
本条恵美は隆史に、にっこりとほほえみを浮かべた。
「ぼくはチビでふとっちょ、それが自慢なんだ」
隆史がカウンターの向こうにいる麗に、くまのプーさんのセリフを言った。
燕杏は黙ってサンドイッチを食べていた。
隆史から〈神眼〉の話を聞いたので、麗に目を合わせないようにしているようだ。

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