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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 211

檜垣家に仕える一族の隠れ里で忍者が住んでいたというのは、別荘にいる氷川奏の話だが、現在も隠れ里の雰囲気はある。ちゃんと住所登録されているし、税金も収入に合わせて納税しているが、基本的には、檜垣家当主の隆史が3人の生活費や施設としての管理維持費は払っている。
電気は自家発電でまかなわれていて、この発電機を使えるように定期的に山のふもとから電気屋が点検に来て、温泉につかって帰っていく。酒屋も客が来たときに酒を届けてついでに温泉に入れるのを楽しみに待っている。
「3人は檜垣隆史さんの愛人ですか?」
燕杏が酔ったふりをしてしれっと質問した。
「10歳のときに、あたしは大人の隆史さんと同じおふとんで一夜を共にしました」
麗が隆史をじっと見つめて言った。
「翌朝、妹を探しに行って、その現場を目撃しました」
初音がうなずいて燕杏に言った。
「あらあら、二人とも10年も昔の話をして、檜垣様を困らせてはいけませんよ」
叔母の綾子が二人をたしなめる。
隆史は頭をかいて「そうだよ」とも「ちがうよ」とも言わずに、にやにやしていた。
本条恵美は「私は隆史さんの愛人です」と名乗り出てやろうかしら、と思った。
「この温泉は昔からずっと檜垣家の湯治場だった。檜垣家は、谷崎家の人たちに管理維持をお願いしてきた。古いつきあいがある親戚みたいな感じなんだよ」
隆史がその場全員の前で説明した。
燕杏は湯治という言葉が聞き慣れていないので、隆史がさらに説明した。
「湯治」とは「湯」は薬湯のこと。「治」は治療。日本では医療が発達する前は、病気や傷の治療を目的として温泉や薬湯が使われていた。
日帰りや数泊で疲労回復の目的や観光旅行で宿泊するのではなく、治療目的で少なくても一週間ほどは滞在する。
湯治場(とうじば)とは、湯治を目的に長期滞留する温泉地のことである。
「若返りの湯と言われている温泉の効果は抜群だ。燕杏、綾子さんを見てみなよ。俺より若く見えるかもしれないけど、歳上だから」
「ええ、檜垣様が赤ちゃんの頃に、私は子供でしたが、姉の手伝いでおしりをふいて、おむつを交換したことがありますよ」
「綾子さんは、初音と麗の叔母さんだけど、俺にとっては親戚のお姉さんみたいな感じな関係なんだよ」
谷崎椿。初音と麗の母親は、隆史のベビーシッターとして働いていた。
隆史が自分の過去について話すのを本条恵美は聞いたことがなかったので、それが聞けただけでも旅に同行してよかったと思った。
「檜垣様が私たちに会いに来たわけではなく、湯治に来たのは存じ上げております。好き嫌いをなさらず、夕食はちゃんとお食事も残さず召し上がって下さいませ」
綾子に言われて、隆史はまた、もそもそとよく噛んで食べ始めた。
隆史が話をやめて食べ始めたので、燕杏と本条恵美も出された料理を全部残さず食べた。
隆史の檜垣の血統を継ぐ体は毒物にも耐性があるが、たとえば頭痛がしても、市販の頭痛薬などでは効かない。
外傷、たとえば切り傷などは自分で作った軟膏を塗り傷痕も目立たないぐらい素早く治癒することができる。
体調がおかしいと気づいたので隆史は湯治場に10年ぶりに訪れたのだった。
「御父上様は、毎年のようにここに来られて湯治をなさっておられました。檜垣様も毎年とは言いませんが、湯治に来られるほうがよろしいと思われます)
「親父は俺より体が弱かったから。屋敷で寝てることのほうが多い人だったな」
先代当主は隆史が10歳になった春の暖かな日に、蝋燭の火を吹き消されたように、屋敷の庭の桜が満開になっているのを見ながら静かに息を引き取った。
檜垣雅樹(ひがきまさき)、享年48歳。
隆史が生まれてからは、雅樹は子作りはやめて体力を温存して、残りの10年間を穏やかに過ごした。
華奢で女顔で、檜垣の当主だが、誰にでも丁寧な口調で対応する、とても優しげで顔立ちも美しく儚い印象の男性だった。
隆史に温和でのんびりとした印象があるのは、父親ゆずりなのかもしれない。
痩せて華奢だった雅樹とちがい、隆史はぽっちゃりとしているが、透き通るような肌の白さは父親ゆずりである。

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