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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 147

隆史はロレックスデイトナRef.116506アイスブルーの盤面を、ちらっと見るそぶりをして見せた。男の命の残り時間を確認するように。
(こういう残酷なところは、すごく嫌だけど、檜垣の当主らしい感じがする)
氷川奏は隆史の残酷な性格の部分を、恋人の玲香には見せたくないと思う。
うろたえた侵入者は、左胸のあたりを押さえながら後ずさりした。動悸が激しく、心臓が痛い。
「ブランデーたっぷりの紅茶を調子に乗って、俺の奏に軽口を叩いて、がぶ飲みしたからそうなる」
隆史は侵入者が自分に嘘をついたことより、奏に軽口を叩いたことに腹を立てているらしい。
「奏、こいつ、もうこのまま外に逃がすか。死体になってから埋めてもらうにしても、次に運搬の人たちが来るまで地下室に置いといても、腐ったら臭いし」
「なんのためにここに来たか、早く言いなさい」
奏は隆史のように残酷にはなれない。侵入者の男に話しかけた。
「中島玲香っていう女がここにいるはずだ。拉致して連れて来れば百万円くれるって」
隆史と奏が顔を見合せた。玲香の父親は美少女の玲香に未練たっぷりなようだ。
「そういうことか、なるほど。解毒剤をやるから、勝手に帰れ。依頼人にはもう会うな、命が惜しいならな」
檜垣の当主に娘を差し出すかわりに二十億円の借金を清算してもらった玲香の父親は、どうやら誰かに娘を取り返すことを依頼したらしい。
実際に運搬係にまぎれこんで別荘に侵入してきた実行犯には百万円の報酬しかないところをみると、檜垣に関わるのを避けて、中島玲香の奪還依頼は裏組織の中でたらい回しにされたようだ。
初め依頼された時はたとえば1千万円の報酬の依頼だったとして、次に依頼を持ちかけられた下部組織には9百万円の依頼として話を持ちかける。9百万円で依頼を受けた組織が、別の組織に依頼を回すときには8百万というようにピンハネされて、この男が依頼を受けたときには百万円になってしまったのだろう。
この男は裏社会では、檜垣には逆らうなという常識や古来から毒殺を得意としてきた一族らしいという噂も知らないほどの、隆史からすれば素人のようなもの。
報酬をピンハネしたいくつかの組織の落とし前をつけるために利用されたのだろう。
もちろん成功するとは思われていないし、そのまま実行犯は失踪してくれたほうがさっぱりするぐらいにしか思われていないだろう。
中島玲香奪還を依頼して、玲香の父親は金を無駄にばらまいたようなものだ。この男が帰って来なかったら、百万円以上の金額を誰かがネコババするはずだ。
「こいつに玲香を連れて帰らせて、最初の依頼主に報酬をこいつが請求したら、途中でピンハネした連中はあたふたするかな?」
ポケットに隠して持っていた丸薬を侵入者に渡してやり、奏に隆史は話しかけた。
実行犯の人さらいは丸薬を急いで飲みこむと、すぐにひどいめまいで、その場に座り込み動けなくなった。
「きっと、顔をつぶされたと、依頼をうやむやにするために、この人を海に沈めると思います。それに、最初の依頼主に玲香さんを会わせられないので、玲香さんも何をされるかわかりません」

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