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媚薬の罠
官能リレー小説 - レイプ

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媚薬の罠 1031

斎藤吾朗の常識と鏡真緒の常識は、かけ離れている。容疑者を確保するという斎藤吾朗の考えに対して、祓魔師の鏡真緒は、容疑者が呪われてしまっていて、完全に心が蝕まれていれば、呪殺もやむを得ない処置と考えている。
怨念に蝕まれた実行者の被害者は、怨念の力を増大させる贄となる。実行者があらわれたら、贄の犠牲者を増やす前に始末するのが祓魔師の役割なのである。
怨念に蝕まれた実行者は、怨念が増大し強まれば人とは思えない身体能力を発揮することがある。蟲毒の呪法を用いて、あえて自らの身体をギリギリまで衰弱させ、かりそめの怨念に蝕まれた実行者となり、その力を利用して復讐を実行した者を鏡真緒は見た。
護りの力が失われた土地、他にもさまざまな条件が揃えば、かりそめではなく、本物の実行者があらわれることはあり得ない話ではない。
真言密教を継承する高野山には祓魔師が存在する。基本的には、条件が揃わないように何らかの対策が施されているが、その対策が失われると怨念に蝕まれた実行者、呪われた者があらわれる。
呪われた者があらわれてしまったらその状態を確認して、手遅れならは始末するのが、祓魔師たちの退魔行なのである。
祓魔師の処置後に、再び呪われた者があらわれないように対策を施すのは、祓魔師ではない。
呪われた者は、対策を施そうとすれば必ず妨害するためにあらわれる。
だから、鏡真緒は呪われた者があらわれる諸条件が満たされてしまっていないかを、退魔行に取りかかる前に調査していたのである。
事件の容疑者が呪われた者でなければ、普通の犯罪者であり、それは目の前の私服警官の仕事で、祓魔師の関わる仕事ではない。
鏡真緒は、ざっくりとだが、目の前にいる斎藤吾朗に祓魔師の仕事とは何かを説明した。

(祟りなんて、そんなものがあるのか。とりあえず何を言っているかはわからないが、この捜査の足手まといになるようなら、この女にはお引き取り願うことにしよう)

斎藤吾朗はそう考えると、冷めた珈琲を残して伝票を手に席を立った。

「私は例のアパートの真上の部屋が空き部屋となっているから、しばらく真上の部屋で張り込みをするつもりだ。鏡さんは、どうする?」
「私はまだ調べなければならないことがあります。それが終われば連絡します」
「わかった。では、また」

斎藤吾朗は、アパートの管理を任されている不動産屋へ向かった。アパートの大家の男性は親から受け継いだ物件を、不動産屋の管理に丸投げしている。
菊谷亨のストーカー事件で警察慣れしている不動産屋は、斎藤吾朗はその事件の捜査をしていると思い込んでいた。
女性保護団体の女性職員が、空き部屋の104号室に連れ込まれて性的暴行を受けた事実は、大家と不動産屋には知らされていない。
菊谷亨が204号室から出て立ち去った姿は、アパートの住人用共同のゴミ箱へのイタズラ防止用の設置されていた監視カメラに撮影されていた。
以前にゴミ箱に花火が捨てられてぼや騒ぎがあったので、設置されたもの。監視カメラは住人の出入りする道路側の一部しか撮影していない。
探偵の本条恵美によって集められた証拠によって、すでに被疑者の菊谷亨の身柄は、警察署の留置所に確保されている。104号室の無断使用者が、菊谷亨ではないことは、公安の捜査官である斎藤吾朗は警察の捜査情報から把握している。
104号室に斎藤吾朗が張り込みせずに真上の204号室を契約した。104号室に監視カメラと盗聴器を仕掛け、真上から張り込みすることにした。
公安と警察にはテロリスト対策で、アジト探しをする捜査マニュアルがすでに存在している。104号室を利用しているのは、以前に行方をくらました元住人の宮原清ではないかと、斎藤吾朗は予想していた。

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