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ふと気がつくと
官能リレー小説 - レイプ

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ふと気がつくと 23


ネット通販で定期購入した「美肌」化粧水の支払いをコンビニエンスストアーで済ませると、三十四歳の主婦、野口彩子はため息をついた。
夫に渡されているおこずかいは先日の家族での外食と、美容室と、これでほぼ使いきってしまった。
(娘も、もう小学四年生だし、パートにでも出てみようかしら)
平日の朝、夫が出勤して、娘が夕方帰宅してすぐに塾へ行くので、夕方六時すぎまでは、彩子の一人っきりの時間だ。
自宅のリビングでソファーに座って、暇潰しに三ヶ月前から登録したネットの日記サイトをながめていると、旅行に行った、エステに行った、お酒とお料理とスイーツを楽しんだ、という内容の他の主婦たちの日記が羨ましく思えた。
(旦那さんの収入がとても良いのかしら)

日記の掲載は男女無料。サイトメール男性有料、女性無料。
日記にLINEのIDを掲載は運営から、そのIDを掲載された日記は削除されてしまう。メールアドレスや電話番号も同様に削除されてしまう。
しかし、サイトメールであれば、LINEのIDも、メールアドレスも、電話番号も相手と交換できる。
日記サイトでしばらくデートの誘いをじらしておいて、会う二週間前ぐらいにサイトメールでLINEのIDを交換。
そして、相手が当日にはおこずかいをくれるという条件などに同意したらデートをする。
デートで相手が嫌な感じでなければホテルでセックスを楽しむ。
そして出かけた先で男性のおごりで食べたものや、おこずかいで行ったエステやネイルサロンなどを日記に載せる。
夫の収入では贅沢できないが、セックスしたい金と暇がある男たちは、おこずかいを渡して、あとくされなくデートとセックスを楽しむ。
援助交際なのだが、浮気とは考えない。
デートを終えて自宅に帰ってくれば、地味な主婦の生活で我慢できるぐらいには夫のことを愛しているし、家庭を大切に思っている。

「こんにちは、野口さん」
ホテルのロビーの喫茶店で緊張している彩子にはにかんだような笑みを浮かべた今回の相手が声をかけた。
(なんか、まじめそうな人)
待ち合わせの時間の10分前にその男性は来て、待たせたことを謝り、彩子のいるテーブル席のむかい側に座った。
黒髪で緩くパーマがかかっていて、清潔感がある髪型だと彩子は思った。
服装は上下の紺のスーツ、青いワイシャツ、革靴。出張で東京から彩子の暮らす県に宿泊予定なので会いたいということだった。
「もう昼食は済ませませたか?」
彩子は待ち合わせの一時間前に到着して、三十分前にサンドイッチで遅めの昼食を済ませた。
彩子の暮らす街から電車で二時間かかる空港のある街の高級ホテル。
「飛行機が遅れなければ彩子さんと一緒にこの近くで、ネットで有名なお店に行きたかったんですが。でも、彩子さんは地元だからめずらしくはないですよね」
男性の言う飲食店の名前に彩子はいちおう知っているかのようにうなずいてみる。本当は行ったことがない。若い人むけの店なのだろうと思う。
ホテルの喫茶店のサンドイッチも彩子の暮らす街のパン屋とはパンがちがう。それに値段も。
男性は珈琲を注文して、離れているから会えないと思っていたが会ってくれてうれしいというようなことや、明日の昼には取引先の会社の人と会うことなどを話した。
彩子はあれこれと自分のことを質問されはしないか緊張していたが、話を聞きながらうなずいていると緊張がほぐれてきた。
「佐藤さんは若い感じですね」
「いやいや、これでも僕は三十歳ですよ」
そう言って笑顔で珈琲を飲んだ。
しばらく雑談をする。最近は仕事が忙しくて映画館に行けてないこと、彩子の好きな映画をレンタルDVDで見たことなど。

ネットの日記やLINEでのやりとりと話している目の前の「佐藤さん」のイメージが重なっていく。
「このあと、時間は大丈夫ですか?」
彩子は夫にOLの頃の友人と会うと言ってあり、娘と夫は二人で好きなものを外食できると喜んでいた。
夜八時から九時ぐらいに帰宅すれば問題ない。
「夕方六時ぐらいまでなら……」
二時間で帰らせてくれそうな気がしなかった。
佐藤さんは当たり前のように彩子の分の会計を済ませた。
「ごちそうさまです」
「どういたしまして」
もしも「佐藤さん」がイメージとかけ離れていたら彩子はすぐに逃げて帰るつもりだった。

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