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ふと気がつくと
官能リレー小説 - レイプ

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ふと気がつくと 22

高橋優の占い師の館という喫茶店に俺は暇なときはナンパをやめて通うようになった。
それが高橋優の催眠の暗示によるものなのか、そうでないのかは、どっちでもよかった。
なにか自分でこうしたいと決めていても、ふんぎりがつかない人たちは、高橋優の占いの結果を聞いて納得のいく答えを選択して帰っていく。
高橋優は命にかかわる選択、たとえば自殺しようかしないで生きるか、という選択以外には干渉せずに占いの結果だけを伝えていた。
命にかかわる選択は占いが当たらないと言い、催眠の力で相談者が自殺したいと思う理由を聞きだしていた。心が混乱していて、本人にも自殺の理由がわからない人も多い。
「生きることも、死ぬことも行動ですが、理由がわからないまま、なりゆきまかせの状態に気がつくことや、その人が何に混乱しているか誰かに話すことで気持ちが落ち着くことがあります」
客が帰ってから、俺は高橋優のやりかたを珈琲を飲みながら聞いていた。
「人の命の選択を誰か他人が決定したり、強制することはできません。人は本人が選択したこと、望むことしか行動できないのかもしれません」


人は選択があれば自分の望むものしか選ばない。
その選択が自分の望むものへ近づくと信じることで行動する。
それまでの俺は相手の心の動き、本人さえも気づいていないぼんやりとした望みについて考えたことがなかった。そのぼんやりとした望みが具体的な選択によって人を行動させる。
人はどんなときも快感を求めている。そして、快感が具体的にどんなものか知ってしまうと他の選択を選ばなくなる。

自分の中にある隠された望み。
それが選択と行動によって叶えられる瞬間の恍惚。
その一瞬が過ぎ去れば、また望む。
ある具体的な選択と行動がまた恍惚を感じさせてくれるとわかれば、ぼんやりとした望みは、渇望に変わる。
高橋優はカウンセリングでやろうとしているのは、渇望する人に命を失う危険のない別の選択を用意して、隠された望みが叶えられることを教えようとしている。
別の選択を用意できるが、すでに知っている恍惚の一瞬のために、危険な行動をすることを他人には止めることができない。
高橋優はそれをよくわかっている人だった。


(この人の望みはなんだろう?)
俺はそれを気にしながら、喫茶店に来る人たちや、高橋優と一緒にカウンセリングについて行き会った「迷える子羊」たちについて考えた。
そして、高橋優の望みについて俺は考えるようになっていった。

「最近はここによくいらしてますが、もう街でナンパはお止めになったのですか?」
「ええ、まあ……」
喫茶店でシスターの衣装の高橋優にそう言われ、俺は歯切れの悪い言葉で答えた。
「あら、気になる人でもいたのかしら」
くすくすと笑う声を聞きながら甘めの珈琲を飲む。


「あなたは街でナンパをなさっていて、私たちのような催眠の力の素質を感じる人と出会うことはありませんでしたか?」
「残念ながら」
「私はあと二人ですが見つけました。でも、問題があるのですよ」
「なんですか?」
「ひとりは薬物依存の女性、もうひとりはアルコール依存の女性です」
病院で会った薬物依存の禁断症状の状態の女性や、入院して点滴を受けていたアルコール依存の女性の様子を俺は思い出した。
「体が蝕まれきっているわけではありませんが、もうしばらくすると自己催眠では禁断症状を抑えきれなくなるでしょう。ですが、私のことを二人は知っているようで、強制的に薬断ち、禁酒させられると誤解しているようで逃げてしまうのです」
「わかった。俺が会いに行こう」

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